患者数が増加している肺がん その治療法とは

肺がんの患者数は年々増加しており、現在では13万人以上にのぼると推測されています。命を落とすことも多く、部位別のがん死亡数をみると、男性では、全がん死亡の約24%を占め最も多く、女性でも2番目に多いことが報告されています。

日本だけでなく、世界各国でも問題となっており、世界中で新しい治療法の開発が進められています。

肺がんの分類、症状

肺がんは、気管支や肺胞が何らかの原因によりがん化することで発症します。

組織型により、非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けられ、非小細胞肺がんは全肺がんの約80%を占めます。非小細胞肺がんはさらに、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんに分類されます。

それぞれ発症しやすい部位や特徴が異なり、腺がんは女性の発症が多いことや症状が出にくいこと、扁平上皮がんは喫煙との関連が大きいこと、大細胞がんは増殖が早いことなどが特徴として挙げられます。

早期の肺がんは、症状が出ないことが多く、検診などにより発見されることもしばしばあります。咳や痰、息苦しさ、胸の痛みなどの呼吸器症状があらわれることもありますが、肺がん特有の症状はなく、見過ごしてしまうことも少なくありません。

また、進行の程度に関わらず症状が発現しないこともあり、早期に発見するためにも定期的に検診を受けることが大切です。とくに、喫煙は肺がんの最大のリスク要因といわれており、喫煙者は注意が必要です。


写真はイメージです。 photo by photoAC

非小細胞肺がんの治療

非小細胞肺がんは、がんの大きさや浸潤・転移の程度によりⅠ~Ⅳ期に分けられ、病期や組織型、年齢、合併症などさまざまなことを考慮して、治療法が選択されます。

切除可能な場合には、病巣や転移巣を取り除く手術が基本となります。術後の再発を防止するために、術後化学療法や放射線療法が行われることもあります。

一方で、切除不能で周囲の組織や臓器、リンパ節に浸潤・転移がみられるⅢ期には、放射線療法と化学療法を同時に行う、化学放射線療法が標準治療となっています。

離れた臓器への転移や胸水がみられるⅢB期やⅣ期では、化学療法が中心になります。

化学療法は、DNAの複製を阻害するプラチナ製剤をベースとし、いくつかの抗がん剤を組み合わせるレジメンが一次治療の標準となります。一次治療奏功後も、進行や転移をなるべく遅らせるために、葉酸代謝阻害薬ペメトレキセドなどの薬を継続する維持療法が行われます。

また、新機序の薬として、免疫応答を回復させ、がん細胞の破壊や増殖の抑制をする免疫チェックポイント阻害薬が開発され、ⅢB期やⅣ期の非小細胞肺がんへの有効性が報告されています。

さらに近年では、個々の遺伝子変異を検出できるようになり、患者さんに合った医療を提供することも可能となってきています。肺がんでは、EGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子などさまざまなタイプの遺伝子異常がみられることがわかってきており、これらの遺伝子異常をターゲットとした分子標的薬も次々と出てきています。特定の分子に異常をもつ患者さんに対する単剤での有効性や、標準療法と併用した際の効果など多くの報告がされており、進行肺がんの治療に用いられることが増えてきています。


写真はイメージです。 photo by photoAC

医療の進歩により、優れた効果をもつ新しい治療薬が次々と開発されており、肺がん患者さんの希望となっています。今後も研究が進み、より多くの患者さんの命を救う治療法が確立されることが期待されます。

 

 

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