アルコール依存症への道のり<前編>

アルコール依存症は病気です


アルコール依存症は少し前までは「アルコール中毒」や「アル中」といわれていました。あまり良くないイメージがあるのではないでしょうか。

アルコール依存症は長い間にわたって、習慣的にお酒の飲みすぎを続けていると知らぬ間に進行していく、誰でもなってしまう可能性が病気です。いったんアルコール依存症になると完全に治癒することはありません。

アルコール依存症は意志が弱いからお酒がやめられないといったものではありません。アルコール依存が進行することで自分の意志には関係なくお酒がやめられなくなってしまうのです。

どのようにアルコール依存症になってしまうのでしょうか。

アルコール依存症へのプロセス


1.機会飲酒

大学生や社会人になると歓迎会、忘年会、新年会やお正月やクリスマスといった季節のイベント、先輩に誘われる、同僚や友人と飲むといった飲酒をするといった機会が多くなります。これを機会飲酒といいます。

写真はイメージです。photo by pixaboy


2.習慣飲酒

夕食のときに飲む、ストレス発散するために飲む、酔い心地がから飲むなどから毎日のように習慣的に飲酒を続けてしまう状態になってしまうことです。この段階はアルコール依存症ではありませんが、アルコール依存症への入り口です。

3.耐性が形成される

習慣的にお酒を飲むことを続けていることで、以前と同じ量を摂取しても酔わなくなります。よくいう「お酒に強くなった」状態です。アルコールに対する耐性が形成されてお酒を飲む量が増えていきます。

4.ブラックアウト

深酒してしまった翌日にお酒を飲んでいた時のことが思い出せないことがあります。「記憶が飛んでしまう」ことです。これをブラックアウトといいます。

5.精神的依存

お酒がないと物足りない、お酒がないと気分が落ち着かないといった状態になります。アルコールへの依存性ができてしまった状態です。この状態が進むとお酒ばかりに気が取られるようになっていきます。

6.身体的依存

お酒を飲むことが常態化するとお酒を断ったときに発汗、ふるえ、微熱、悪寒などの離脱症状が起こします。精神的にもおちつかない、イライラするなどの症状がでてきます。

お酒が原因で病気、遅刻、欠勤、不注意、判断ミス、飲酒運転などの問題もおきるようなり、性格が攻撃的になり暴力をふるうこともあります。自分の意志だけで、お酒を断つことはたいへん難しいです。

さらに、進むと離脱症状から逃れるためにむかい酒や隠れて飲む、幻聴や幻覚といった離脱症状もでてきます。

四六時中、お酒を飲まずにいられない連続飲酒発作となって仕事もままならず、外出ができないなど完全な依存症状態になっていきます。重篤なアルコール依存症の状態です。

写真はイメージです。photo by irasutoya


お酒の過剰な摂取は身体的や精神にも多種多様の病気を引き起こします。命に関わる病気とも無縁ではありません。それでもお酒を求めてしまうのがアルコール依存症の怖さです。

WHOはお酒が60種類を超える病気の原因であり、200種類以上の病気に関連していると指摘しています。

アルコール依存症の特徴をあらわすスクリーニング・テストがあります。<後編>ではこのテストからみていきます。

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