アメリカで汚染した小麦からシガ毒素産生大腸菌を確認 そもそもシガ毒素産生大腸菌とは、から予防まで

2016年にアメリカの24州で計56件、汚染された小麦粉を感染源とするシガ毒素産生大腸菌の発生が確認されました(NEJM)。

シガ毒素産生大腸菌といわれると、あまりピンと来ないかたもいるかもしれませんが、温かいころになるとテレビでもニュースになるO157を代表する大腸菌です。

今回は、シガ毒素産生大腸菌についてみていきましょう。


大腸菌の電子顕微鏡写真 photo by wikipedia

シガ毒素産生大腸菌とは

1982年にアメリカ合衆国でハンバーガーが原因と推定される食中毒事件が発生し、患者さんが激しい出血性大腸炎をおこしたことから、腸管出血性大腸菌O157と名づけられ注目をあつめました。

その細菌の毒素が、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriael)の毒素に似ていたことから、1996年に毒素名を志賀毒素、菌の名称をシガ毒素産生大腸菌に統一しようとの提案がされました。

日本では、腸管出血性大腸菌感染症とよばれ、1999年4月に施行された感染症法に基づく3類感染症として、診断した医師に全数の届け出が義務付けられています。

シガ毒素産生大腸菌とは

シガ毒素産生大腸菌は、日本では、毎年3000~4000例の届け出があり、夏季にピークをみとめ、O157が約70%で、O26が約20%、残りはO111、O121、O103、O145、O91などさまざまな血清群を認めています。

すむ場所は、保菌動物とよばれウシ、ヒツジ、ヤギ、シカなどの食べ物を反芻する反芻獣におおく、保菌動物の糞便や糞便に汚染された食品の摂取により感染するといわれています。

診断方法としては、糞便からの検査、血清中の抗体を検出することで、診断が可能になっています。


写真はイメージです。 photo by photo AC

シガ毒素産生大腸菌による食中毒の予防方法

予防のポイントは6つになります。

○安全な食品の購入
○家庭での保存の仕方
○下準備
○調理
○食事
○残った食品

・安全な食品の購入

新鮮な食べ物は、消費期限を確認してから購入しましょう。
温度の管理が必要な食品は、買い物の最後に購入し、購入した食品は、肉汁や魚の水分がもれないようにビニール袋に小分けにしましょう。

・家庭での保存の仕方

冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵・冷凍しましょう。詰めすぎに気を付け、冷蔵庫・冷凍庫の7割程度を目安にしましょう。
細菌の多くは、10℃で増殖がゆっくりとなり、-15℃で増殖が停止するため、冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は―15℃以下を目安にしましょう。

・下準備

生肉や魚を切りおわった包丁やまな板を洗わずに、続けて果物や野菜などを切ることはやめましょう。生の肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。
包丁、食器、まな板、ふきん、たわし、スポンジなどは、使った後すぐに、洗剤と流水で良く洗いましょう。ふきんのよごれがひどい時には、清潔なものと交換しましょう。
包丁、食器、まな板などは、洗った後、熱湯をかけたりすると消毒効果があります。

・調理

加熱して調理する食品は、十分に加熱しましょう。
加熱を十分に行うことで、食中毒菌がいたとしても殺菌することができます。めやすは、中心部の温度が75℃で1分間以上加熱することです。
料理を途中でやめてそのまま室温に放置すると、細菌が食品についたり、増えたりします。途中でやめるような時は、冷蔵庫に入れましょう。再び調理をするときは、十分に加熱しましょう。
電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け、熱の伝わりにくい物は、時々かき混ぜることも必要です。


写真はイメージです。 photo by pixabay

・食事

清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。温かく食べる料理は温かく、冷やして食べる料理は冷たくしておきましょう。めやすは、温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。

・残った食品

残った食品は、きれいな器具、お皿を使って保存しましょう。
残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。めやすは75℃以上です。味噌汁やスープなどは沸騰するまで加熱しましょう。時間が経ち過ぎたら、思い切って捨てましょう。

厚生労働省HP参照

 

まとめ

生肉やさかなから感染しやすいと考えられている大腸菌ですが、汚染した小麦からも感染することが明らかになっています。

意外な食べ物にも、大腸菌はひそんでいます。どんな食べ物であっても、身体のなかに入る限りは、感染の原因となりえます。

手洗い、消毒、清潔を心がけて、気をつけることで防げる感染症には気をつけていきましょう。

 

 

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