タバコを吸うと耳が聞こえにくくなる!?喫煙と聴力低下

肺だけではなく、さまざまな臓器に影響をおよぼすことで知られているタバコですが、今回、聴力にも悪影響をあたえることが報告されました。


写真はイメージです。 photo by photo AC

タバコと疾患

健康への関心の高まりや規制の強化、増税などにより年々減少傾向にある喫煙率ですが、現在でも習慣的に喫煙している人の割合は男性で32.2%、女性では8.2%、計19.3%にのぼると報告されています。(厚生労働省国民健康栄養調査より)

タバコは、さまざまな臓器に悪影響をあたえ、喫煙者および周囲にいる人の健康に害をおよぼします。タバコを吸うと、寿命が10年短くなるともいわれています。

タバコの煙には、200種類以上の有害物質、50種類以上の発がん性物質がふくまれており、代表的なものに、ニコチンやタール、一酸化炭素などがあります。

ニコチンは依存性が高いことで有名ですが、そのほかにも末梢血管を収縮させる作用をもち、血流の障害や血圧の上昇、心拍数の増加をひきおこします。このことにより、血管への負担が強くなり、心筋梗塞・狭心症・脳卒中を起こす危険が高まるといわれています。

タールは、発がん性物質のひとつで、喉や肺に付着しやすく、がんを誘発するといわれています。実際に、タバコを吸う男性は、吸わない男性に比べて、肺がんによる死亡率が約4.5倍も高くなるとの報告もされています。

一酸化炭素は、酸素を運搬する役割のあるヘモグロビンと結びつき、酸欠状態を引き起こし、運動能力の低下を引き起こしたり、動脈硬化を促進します。

このほかにも、タバコは、COPDや消化性潰瘍、糖尿病、うつ病、骨粗しょう症、種々のがんなどさまざまな疾患と関連があることが知られています。


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タバコと聴力

百害あって一利なしともいわれるタバコですが、今回、「Smoking, Smoking Cessation, and the Risk of Hearing Loss: Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study」より、タバコが聴力の低下にも関連していることが報告されました。

ベースライン時点で両耳の聴力低下がみられない20~64歳の50195名を対象に、最大8年間におよぶ追跡調査を行い、純音聴力検査による聴力の変化をしらべています。

その結果、喫煙者では非喫煙者と比較して、高音域・低音域ともに聴力が低下する人の割合が多くなりました(ハザード比 高音域聴力低下;1.6 低音域聴力低下;1.2)。また、その聴力低下の割合は1日の喫煙数が多くなるほど増加する傾向がみられました。

禁煙後の聴力を調べると、検査時点で5年以上の禁煙をしている群では非喫煙者と比較しても、聴力低下の割合にほとんど差はみられませんでした。

このことから、タバコを吸うと、聴力低下、とくに高音域の聴力低下のリスクが高まること、および禁煙により聴力低下のリスクは下がることが示唆されました。

タバコによる聴力低下は、ニコチンの毒性や血流障害が起こることなどが一因となり引き起こされると考えられています。


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今回の報告により、喫煙により聴力低下のリスクが高まるものの、禁煙するとそのリスクが低下することが明らかになりました。

タバコはさまざまな臓器に悪影響をあたえ、私たちの健康に害をおよぼします。現在タバコを吸っている人は、いま一度、禁煙についてかんがえてみましょう。

 

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