記憶の仕組みに新たな発見 海馬から大脳皮質への記憶固定化の経路が一部明らかに


写真はイメージです。 photo by Andreas März

「去年行った隣町の遊園地楽しかったなぁ」

「昨日受けた試験むずかしかったなぁ」

こういった個人が経験した出来事に関する記憶をエピソード記憶といいます。エピソード記憶には、時間や場所、そのときの感情が含まれます。

今回、エピソード記憶はどのように定着していくのか、そのメカニズムの一部(原文英語)が明らかになりました。

エピソード記憶には前頭前皮質と扁桃体の関わりが


赤い部分が海馬 gif by wikipedia

これまでの研究では、脳の海馬に記憶が送られて、大脳皮質(脳の外側)に定着すると考えられていましたが、どのように記憶が運ばれていくかは具体的にわかっていませんでした。

今回の研究で、光遺伝学をもちいて記憶を担う細胞(エングラム細胞)を染めることで、大脳皮質の前頭前皮質で、学習時にエングラム細胞が作られていることを認めました。

時間の経過とともに前頭前皮質(脳の前側)にエングラム細胞が作られ、海馬のエングラム細胞が失われていました。感情をつかさどる扁桃体とのかかわりも指摘されました。

エピソード記憶はどのように知識に変わるのか

以前から言われていた、記憶は海馬から大脳皮質に徐々に送られて、最終的に大脳皮質に蓄えられるのではないかという「記憶固定化の標準モデル」の考え方が説明できるようになりました。

今回の研究でエピソード記憶における前頭前皮質の重要性が明らかになり、今後は、エピソード記憶が知識へどのように変わっていくのか注目されています。

自分の頭の中で何が起こっているか、さらに知りたくはありませんか?

参照:PMC

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