2017年3月日本で新たにAD/HDの治療薬が販売・承認  

 

2017年3月新たに、小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の治療薬「インチュニブ」が承認されました。

米国欧州諸国など世界33か国において、すでに承認されている薬であり、AD/HDの症状改善がみられています。

AD/HDはさまざまな要素がかみあっている

AD/HDでは、不注意・多動性・衝動性の3つの症状がみられます。

人によって3つの症状の出方は異なり、年齢によっても症状が変化すると言われています。

小学校に入るまでにAD/HD症状が出る子供が多い傾向にありますが、大人になってAD/HDと診断されるケースもあります。

AD/HDは遺伝的な要素、環境的な要素が絡み合っていると考えられています。

現在もAD/HDの原因は、はっきりとわかっていない

AD/HDの詳しい原因は解明されていませんが、脳の前頭野部分の異常が原因とする説が有力視されています。前頭野は物事の整理整頓や論理的な考えをつかさどる部分です。

前頭野が働くためには、神経伝達物質(ドーパミン、ノルアドレナリン)が伝達されなければいけませんが、AD/HDの場合、シグナル伝達が減弱して、前頭葉の働きが弱くなっていると考えられています。

また、シグナルを受ける側にあるα2アドレナリン受容体の活性化レベルが低いことも関係していると言われています。

新しく発売されるインチュニブはα2受容体に働く

従来の治療薬は、ドーパミン、ノルアドレナリンの働きを強め、前頭葉の興奮を促す薬でしたが、今回発売されたインチュニブはシグナルを受ける側に存在するα2アドレナリン受容体に働く薬です。

インチュニブがどのようにAD/HD症状を改善するのかは未だ不明なところもありますが、α2アドレナリン受容体を刺激することで弱くなっているシグナル伝達を活性化するのではと考えられています。

臨床試験ではプラセボ投与群に比べ、多動性・衝動性・不注意いずれにも改善がみられました。

インチュニブの用量・効能・副作用 

インチュニブは1日1回服用するお薬です。6歳から18歳未満のAD/HD患者が適応となります。薬効成分がゆっくりと放出されるため、1回の服用で効き目が1日中続きます。

もともと、高血圧の治療薬として開発された経緯があることから、低血圧や徐脈が起こる可能性があり、注意が必要です。

また、約半数の人に眠気や1割程度の割合で頭痛がでてくることが報告されています。もし、服用していてこれらの症状がひどい場合には医師、薬剤師に相談しましょう。

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