「足がつる!」と突然襲うふくらはぎの痛み、こむら返りを経験した人は多いのではないでしょうか。
この症状は、主に激しい運動の後や、また寝ている時にも現れます。芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)は、そんな筋肉痛など筋肉の痙攣に効果があると昔から言われている漢方薬です。
芍薬甘草湯の効果
芍薬甘草湯は、芍薬と甘草の2つから成る生薬で、その割合は1:1。芍薬には、痛みをおさえる作用、痙攣をおさえる作用、筋肉のこわばりをとる作用、血液が固まりやすくなるのを防ぐ作用があると言われており、防風通聖散や葛根湯など様々な漢方薬に配合されています。
写真はアメリカカンゾウ photo by Wikipedia
また、甘草には同様に痛みをおさえる作用、痙攣をおさえる作用、咳をおさえる作用、痰を出しやすくする作用があり、こちらも大黄甘草湯や調胃承気湯などたくさんの漢方薬に配合されています。つまり、どちらも漢方界の名プレイヤーと言えるでしょう。
芍薬に含まれるペオニフロリンは、カルシウムが細胞内に流入するのを阻害することで、筋肉が収縮するのを抑制します。甘草に含まれるグリチルリチンは、カリウムイオンを増やす働きで、筋肉の緊張をほぐします。
この2つを合わせた芍薬甘草湯は、筋肉をリラックスさせる効果でも知られています。
また、芍薬甘草湯でも比較的体力のある人には芍薬甘草大黄湯、体力のない人には芍薬甘草附子湯が効果的だと言われています。
芍薬甘草湯の副作用
芍薬甘草湯は、痛みをとる作用から、がんにおける筋肉痛、関節痛をほぐし、胃痛や月経痛にも用いられます。
写真は芍薬。 photo by featherwaltz7
副作用として、甘草のグリチルリチンの摂取によるむくみ、高血圧の症状が出る場合があります。また、アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症のある患者さんには使用できません。
心臓病や高血圧などの循環器系疾患のある人は、医師に相談することが必要です。そのほかの薬を併用すると、偽アルドステロン症の副作用が出やすくなるため、注意が必要です。
一般的に、漢方薬を予防で長期に服用したい場合には、甘草を含まない漢方薬を選ぶことが大切です。
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