プライベートな空間で睡眠時間を活用 オーバーナイト透析

体内の余分な水分や毒素をろ過するはたらきをおこなっているのが腎臓です。

はたらきが悪くなると、血液の浄化ができないため、体内に老廃物や毒素が蓄積します。尿の異常やむくみなどの症状があらわれ、長く続くと心肺機能や脳神経に障害をおこす、尿毒症の原因となります。

機能が低下した腎臓に代わり、人工的に血液中の老廃物、体内の余分な水分などを取り除き浄化させる治療が透析療法です。

注目される長時間透析


透析している様子 photo byWIKIMEDIACOMMONS

腎臓のはたらきを補う血液透析をおこなうことで、制約はありますが普段の生活を送ることができます。週3回、1回4~5時間の血液透析を受けるのが一般的です。

しかしながら、本来であれば常に動き続けている腎臓の役割を数時間で対処するため、腹痛や吐き気を催す不均衡症候群などの合併症、貧血や高血圧を起こす場合があります。

合併症の軽減や貧血などの予防には、長い時間をかけて十分に尿毒症物質を排除することが必要です。

このため、透析時間を長く設定した、「長時間透析」が注目を集めています。週に3回、1回6時間以上を基本として、週に18時間以上おこなう透析方法です。合併症軽減のメリット以外にも、食事制限の緩和や内服薬の減量などが挙げられ、心身が受けていた負担が減るといわれています。

時間を有効活用・オーバーナイト透析

一般的な透析にくらべて、メリットが多い長時間透析ですが、終わるまでに要する時間が長いことがデメリットにもなります。職場環境にもよりますが、実際に仕事に就かれている人では、長時間の予定をとることは難しいでしょう。


写真はイメージです。 photo by picjumbo_com

このような時間的な問題をクリアし、長時間透析の効果を十分に得ることができるのが「オーバーナイト透析」です。

夜間の睡眠時間、7~8時間に血液透析をおこなうため、日中の行動に影響を与えることはありません。

オーバーナイト透析をおこなっているクリニックにより、対応内容の違いはありますが、一般的には午後8時以降の入室と設定され、勤務や残業後または家族との団らんの後に来院ができる配慮がなされています。

個室環境を提供し、良質な睡眠を

プライバシーの守られた完全個室のなか、良質な睡眠と共に8時間以上の透析をおこないます。

決められた消灯時間はなく、必要以上のスタッフの介入もありません。安全に透析を進められるよう漏血センサーを穿刺につけるほか、場合によっては暗視カメラを用いることもあります。


写真はイメージです。 photo by revac film’s&photography

プライベートな時間にも配慮がなされており、エアコンや間接照明、テレビのほか、インターネット環境も完備されている施設もあります。

一般的な透析施設とはことなり、オーバーナイト透析の施設を持っているクリニックは少ないですが、患者さんのニーズに合わせた施設が、今後も増えていくかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました