認知症ケア 介護問題の明暗を分けるーパーソン・センタード・ケア(P.C.C.)

1990年代までのイギリスにおける認知症の患者さんのケアは、食事や排泄、清潔などケアを提供する人によって一方的に管理されていました。

ぱー


写真はイメージです。 photo by MaxPixel

パーソン・センタード・ケアとは

パーソン・センタード・ケアとは、イギリスの心理学者、ブラッドフォード大学のトム・キットウッド教授により、1990年代に提唱され、「認知症の患者さん本人を尊重するケア」という考え方です。

認知症の人をひとりの個人としてとらえ、意思や立場を尊重します。本人がどのように感じ、何を求めているのかを理解し、「その人らしさ」を支えることを目的とします。

認知症患者さんとその介護

現代の高齢化社会における国民の悩みのひとつに、認知症をはじめとする高齢者の介護問題があります。この問題は、身近で生活をともにしている家族や地域、ひいては国全体にとっても重要な課題です。

ヨーロッパ諸国では、1000年以上の年月をかけて高齢化社会への対策を立ててきたとされる一方、わが国では100年たらずで急速に高齢化社会へ突入しました。このため、国全体として必要な準備が整っていないのが現状です。

認知症患者さんは2025年には700万人を突破すると推計値が発表されました。認知症を発症すると、本人と家族には辛い日々が続く場合があります。自分らしさを保ち、幸せに長生きをすることは難しいのでしょうか。

認知症患者さんは、徐々に適切な判断ができなくなり、自分の意志や意向を明確に伝える能力に欠けていきます。そのため、彼らの自由な選択や決定が他者に委ねられることが多くなります。

認知症の理想的なケアとは、認知症を持った人が自立した生活を送れるように、彼らの生活を整えることを目的にした支援行為です。尊厳を支えつつ、本人らしい魅力を発揮できるサポート、「 パーソン・センタード・ケア(P.C.C.)」が望まれます。

より良い介護のために


写真はイメージです。 photo by vimeo

認知症の患者さんが住み慣れた街でその人らしく暮らすため、365日24時間対応をおこなう住宅やグループホームは増加傾向にあります。

しかしながら、雇用環境の充実や人材育成は不十分で、施設はどこも人材不足です。日本の高齢化問題を改善するためには、これらを直視して取り組むことが必要になってきます。

いまだ不十分とされる、より良い介護のために示された鍵が「 パーソン・センタード・ケア」かもしれません。理念であるを「認知症の本人を尊重するケア」を理解し進めることが、その人らしく幸せに過ごせる日々に貢献できるといえます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました