愛犬のレプトスピラワクチンについて考える

犬を飼っている方ならご存知だと思いますが、犬にも人間と同じようにワクチン接種があります。狂犬病ワクチンや犬ジステンパーウイルスワクチンなどは従来からよく知られているものですが、最近レプトスピラワクチンというものが開発されました。


写真はイメージです。 photo by pixabay

特に関東以南に住んでいる方は獣医師におすすめされたことがあるかもしれませんが、実はこの病気狂犬病と同じように人間に伝染する人獣共通感染症です。今回は犬や人におけるレプトスピラ症の発生件数を見返しながら、もう一度レプトスピラ症について考えて見ましょう。

レプトスピラ症の疫学

レプトスピラ症(別名ワイル病)は1914年に発見されたレプトスピラ(Leptospira)と呼ばれる細菌感染によって起こる病気で、その血清型は現在までに250種類以上が知られています。

1970年代までは日本でも年間50-250人の死亡者が報告されていましたが、最近では衛生環境の改善から感染者は年間20-30人へと激減しました。

また、犬における届出報告(7種類の血清型に限る)は平成28年24頭、平成27年37頭であり、そのほとんどが関東以南の地域に限定されています。また世界的にも熱帯や亜熱帯の地域における発生が目立っており、流行が確認されている地域もあるため、渡航前には確認が必要になります。


病原性レプトスピラの電子顕微鏡写真 photo by wikipedia

レプトスピラ症の症状と感染経路

レプトスピラは動物の腎臓に感染し、尿中に排泄されるのが特徴です。人や犬の多くはレプトスピラを含んだ尿で汚染された水や土壌から経皮的・経口的に感染します。

人間におけるレプトスピラ症は軽症のものから、黄疸や腎障害を伴う重症型もあり、通常5-14日の潜伏期間を経て発熱、悪寒、腹痛など一般的な症状をとともに発症します。犬における感染も軽微なものから重症型まで幅広く、重症型の場合の死亡率は50%を越すと言われています。

レプトスピラ症の治療と予防

治療には一般的にドキシサイクリンやペニシリンなどの抗生剤が使用されます。人間では現在血清型コペンハーゲニー、オーストラリス、オータムナリス、ヘブドマディスの4血清型のワクチンがあり、犬ではそれに加えてカニコーラのワクチンが製造されています。犬の多くは8−11月の秋口に発生が見られ、ワクチンの免疫維持期間が半年から1年と他のワクチンに比べて短いのが特徴です。


写真はイメージです。 photo by photoAC

最後に

海外では農業従事者への感染が多いとされているレプトスピラ症ですが、日本での最近の傾向は河川や湖水での水泳やカヌーによる経皮感染や、猟犬やペット犬からの感染が指摘されています。特に東京や名古屋などの都心でもレプトスピラに感染しているドブネズミなどが見つかっていることから、キャンプなどをしない犬への感染も起こりうる状況にあります。

犬におけるワクチン接種は低確率で副作用を起こす可能性があると言われていますが、レプトスピラは人間にも重篤な症状を起こす可能性があることから、住んでいる地域や犬の散歩コースを考えた上でワクチンの接種を決定してくださいね。

 

 

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