「誰でも発症しうるPTSDの主な症状と治療法」でも以前PTSDを紹介しましたが、PTSDとは、究極の状況においこまれる経験がきっかけとなって心理的・身体的な症状を引き起こす病気です。
トラウマを繰り返し思い出したり、夢にみてしまう病気ですが、一般的には、薬物療法や心理療法がおこなわれ、数か月で治ることがおおいです。いっぽうで、症状がおもくなったり、持続してしまう場合があります。
写真はイメージです。 photo by photo AC
以前から、海外ではプラゾシンという薬が、PTSDになやむ患者さんにプラゾシンという薬が使用されることかがありました。
日本でも、個人輸入など手に入れる手段がなかったわけではないのですが、今回、2018年2月のNEJMで慢性的なPTSDに悩む人にプラゾシンは効果がないのではないかかという報告がありました。
プラゾシンとは
プラゾシン(商品名;ミニプレス)とはα受容体遮断薬というタイプの薬です。
α受容体のひとつのα1受容体が、交感神経を興奮させ、血管の収縮にかかわっていることが知られています。そのことから、α受容体を遮断することで、交感神経を抑制し、血管の収縮をおさえることができます。
こういった作用からプラゾシンは、高血圧の患者さんに使われています。またほとんど使われることはないのですが、前立腺肥大症の治療にも保険適応があります。
プラゾシンの効果が認められなかった
今回の研究では、300人以上の長引くPTSDと繰り返す悪夢に悩むアメリカの退役軍人の患者さんの半分にプラゾシンを、半分にプラセボ(偽薬)を投与したところ、10週間後、26週間後の評価で有意な差を認めませんでした。
プラゾシンは、PTSDには、効果はなかったもののわずかな降圧作用は認めていました。
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以前は、当たり前のように処方されていた薬でも、その後の研究や調査から使用されなくなる薬があります。
効果がある薬を必要なだけ内服していくには、患者さん自身も自分が内服している薬がどのような効果があるのか知っていく必要がありますね。
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