8歳の女の子 3ヶ月にわたる咳、発熱を訴えて来院 

健康だったこどもが、突然、咳をしはじめた。

近くのお医者さんに通って、風邪薬を処方されてもなかなかよくならない。熱も続いている。そういったときには、みなさんはどんな病気を疑いますか。


写真はイメージです。photo by photo AC

2018年2月のNEJMで中国からの報告です。

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photo by NEJM

8歳の女の子が3ヶ月にわたる咳、発熱を主訴に病院を受診し、画像検査、培養検査をしたところ、結核が疑われたため、経験的な肺結核治療がおこなわれました。

しかし、なかなか状態は改善しなかったため、ビデオ補助胸腔鏡のもとで肺の組織をとり検査したところ、イソニアジド耐性菌を疑ったため、薬剤の組み合わせを変更して治療したところ、開始後2週間以内に解熱し、画像検査でも改善を認めました。

治療開始後に、やはりイソニアジド耐性菌であったという結果が届いたそうです。

子どもの肺結核はめずらしくない?

WHOによると結核は、世界の10大死因のひとつで、2016年には1040万人が、結核に罹患し、170万人が死亡しています。小児にも推定100万人が発症し、25万人が結核で死亡しています。

このように結核がこどもに発症することは実は、まれではありません。

アメリカのブリガム・アンド・ウィメンズ病院からの報告によると、結核にかかった子どもの12%はイソニアジド耐性菌によるもので、2010年にはおよそ世界で12万人にイソニアジド耐性菌による肺結核が感染したのではないかと発表しています。

特に、西大西洋、東南アジアでの感染が多かったそうです。

結核の多剤耐性菌が増えている

結核は、空気感染によって人から人にひろがるため、肺結核の人の咳やくしゃみから空気中に結核菌がまき散らされ、その結核菌を吸い込むことで少量でも感染すると考えられています。


写真はイメージです。 photo by illust-ac

そのため、肺結核が流行している地域に、旅行をしたり、出張で行く人は特に注意が必要です。

抗結核薬は、数10年使用されているため、イソニアジド耐性菌だけでなくリファンピシン耐性菌、さらには、超多剤耐性結核菌が出てきて問題になっています。

多剤耐性結核患者の治療成功率は54%、超多剤耐性結核の治療成功率は30%に過ぎないといわれています。今回の症例報告では、治療がうまくいっていますが、治療がうまくいかない例もしばしば存在します。

日本では、結核は過去の病気とおもわれがちですが、実は、日本でも毎年1万人以上の結核感染があります。また、海外でもこのように薬の効かない結核菌が蔓延しているため、注意が必要ですね。

 

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