子どもの肥満と地域差 都市部の子どもは肥満になりやすいはうそ?

身の回りに多くの食事があふれ、手軽にジャンクフードを手にすることができていることから、近年先進国では、肥満が大きな問題になってきています。

肥満による糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病はおおきく取り上げられています。

また、肥満の低年齢化もすすんできています。今回、アメリカの統計にもとづいて小児の肥満についてJAMAから研究が発表されました。

 

研究では、都市化と小児の肥満の傾向について検討しています。

米国疾病管理予防センターの成長チャートにもとづき、それぞれの年齢層の中で上位5%のBMIを示すひとを肥満と、さらにそのラインを120%超えるひとたちを極度の肥満と定義づけています。

成長チャートなのでモデルのようなものですので、実際の人々にあてはまるものではありません。

これを2013年から2016年にかけて2~19歳の人にあてはめてみたところ、約17.8%が肥満、約5.8%が極度の肥満にあてはまりました。

都市と田舎でくらべてみたところ、意外にも人口が100万人いる地域よりも100万人いない地域のほうが極度の肥満率は高くなりました。

また、世帯主が高齢で低収入であるほど、肥満率も極度の肥満率も高くなりました。人種差では、白人のほうが黒人、ヒスパニック系よりも肥満率、極度の肥満率が高くなっています。


photo by pixabay

 

今回の結果は、アメリカの統計であり、一概に日本であてはまるかというとそうではないかもしれませんが、日本でもいくつかのことがわかっています。

 

今回の調査では、ジャンクフードがあふれ、移動の利便性の高い都市部よりも人口の少ない田舎のほうが肥満率が高かったのは、意外な形となりました。日本でもこのような傾向はあてはまるのでしょうか。

実は、文科省が、毎年おこなっている学校保健統計調査でも肥満傾向児の割合を都道府県別でみると、北海道と東北、九州で全国平均を上回る県が多かった一方、首都圏や関西は平均以下が多い結果となっています。また、年次の変化で見てみると若年の肥満率は改善を認めています。

これは、学校や家庭で食生活や運動面の改善に取り組んできた成果が出つつあるいっぽうで、地方は車社会だったりバス通学が中心だったりして意外に歩くことが少ないのではないかと考えられています。

また、世帯主が高齢で低収入であるほど肥満率が高くなっていた点ですが、日本ではどうなのでしょうか。

実は、日本でも成人に同様の研究がおこなわれていて、就労の有無、学歴、所得格差が肥満率と関係することがわかっています。そういった人々にたいして肥満の健康リスクを十分に伝えていくことが日本でもさらに大切になってくるでしょう。

肥満率の上昇は、生活習慣病につながっていきます。若年という多感な時期で介入のなかなか難しい時期ではありますが、適切な介入を適切な人にすることで、より健康な身体を多くの人が手に入れることが可能なのではないでしょうか。

 

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