続きです。
次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん(89歳、女性)は、息子夫婦と3人暮らし。障害高齢者の日常生活自立度判定基準A-2。腹部膨満感とふらつきを自覚したため受診したところ、原発不明の癌による多臓器への転移と腹水貯留が認められ、入院した。入院時に、医師からAさんと家族に、回復の見込みが低いことが伝えられた。看護師に、Aさんは「もう十分長生きできましたから、自然に最期を迎えたいです」と話した。
身体所見:身長148cm、体重43kg、腹囲80cm。体温36.8℃、血圧128/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%。意識レベル清明。
検査所見:Hb 6.9g/dL、総蛋白4.5g/dL、アルブミン2.9g/dL、AST〈GOT〉45IU/L〈U/L〉、AST〈GOT〉60IU/L〈U/L〉、Na 130mEq/L、K 4.2mEq/L。
100 Aさんは全身の衰弱がみられるものの、Aさんの希望で病室のトイレには歩いて行くことになった。看護師は、Aさんは転倒するリスクが高いと判断した。
Aさんの転倒要因はどれか。2つ選べ。
- 貧血
- 腹水貯留
- 肝機能低下
- 低酸素血症
- 低カリウム血症
採血上、貧血は認めるものの、肝機能、電解質に著しい異常は認めない。原発不明がんによる腹水貯留を認めるため、選択肢のなかから転倒要因を2つ選ぶとしたら、1と2になるであろう。
101 Aさんは昼間も寝ていることが多くなった。Aさんは「食事はいらないけど冷たいものはほしい」と言い、看護師が準備した氷を少量食べることがある。維持輸液を行っている。医師から家族にAさんの臨終が近いとの説明があった。家族は看護師に「食事をとらないと体力がなくなってしまう。苦痛なく最期を迎えさせてあげたいけれど、少しでも長く生きていてほしい」と言っている。
家族に対する看護師の説明で最も適切なのはどれか。
- 「食事を介助してください」
- 「点滴をしているので大丈夫です」
- 「食事に栄養補助食品を取り入れます」
- 「Aさんが食べたい物を持ってきてください」
第107回午前の78番の類題です。
最期のときは、食事もなかなか食べられません。本人が食べたいものを食べてもらいます。よって答えは4になります。
102 1週後、Aさんは反応がなくなり、尿量の減少、血圧の低下、下顎呼吸、チアノーゼがみられるようになり、家族が病室に集まった。「最期に何かしてあげたいけれど、何ができるのかわかりません」と看護師に話した。
家族に対する看護師の対応で最も優先順位が高いのはどれか。
- Aさんに話しかけるように勧める。
- Aさんの全身清拭を行うように勧める。
- Aさんの背部にクッションを入れるように勧める。
- Aさんの好んでいた服に着がえさせるように勧める。
聴覚は最後まで残るといいます。反応なくても聞こえている場合があるので、話しかけてあげましょう。よって答えは1になります。
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