第108回看護師国家試験を解いてみた 問題解説 午後112~114 うつ病の対応

続きです。


次の文を読み 112〜114 の問いに答えよ。

 A さん(40 歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ている A さんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、A さんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、 意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。

112 入院時の看護師の A さんに対する関わりで適切なのはどれか。

  1. いま死にたい気持ちがあるか尋ねる。
  2. 命を大切にしたほうがよいと伝える。
  3. 死ぬ気があれば何でもできると話をする。
  4. 家族が悲しむから死んではいけないと伝える。










自殺を図ったものの幸い救命された患者が、将来再び自殺行動を繰り返し実際に死に至る危険は、一般人口よりもはるかに高いです。入院中に希死念慮の有無を確認します。

よって答えは1になります。






113 入院後1か月、A さんのうつ症状は改善を認めたが、同室患者とトラブルが続き、不眠や多弁傾向となった。また焦燥感が強く落ち着いて食事ができなくなった。そのため双極性障害と診断され、主治医から炭酸リチウムの内服の指示が出た。A さんは炭酸リチウムを服用して1週後、手の震え、嘔気が出現した。

A さんの手の震え、嘔気の原因を判断するための検査で最も適切なのはどれか。

  1. 尿検査
  2. 髄液検査
  3. 頭部 MRI 検査
  4. 薬物血中濃度検査










炭酸リチウムの有効血中濃度を得るために服用するリチウムの量は、患者さんによって異なります。医師はときどき採血をしてリチウムの血中濃度を調べ、その患者にはどれくらいリチウムを飲むことが必要かを決定します。

今回の嘔気、手の震えは、炭酸リチウムの副作用であることが考えられるので、血中濃度検査をおこないます。

よって答えは4になります。






114 入院後3か月、A さんは退院予定となり、元の職場に戻るための準備をすることになった。A さんは「すぐに仕事に戻るのではなく、規則正しく生活することなどから、段階的に取り組むほうがいいのではないか」と訴えていた。

A さんの職場復帰を含めた退院後の生活を支援するために適切なのはどれか。

  1. 自立訓練
  2. 就労移行支援
  3. 就労継続支援
  4. 精神科デイケア










自立訓練とは、知的障害または精神障害のある方に対して、障害者支援施設、障害福祉サービス事業所または障害のある方の居宅において、入浴、排せつ、食事等に関する自立した日常生活を営むために必要な訓練、生活等に関する相談および助言などの支援を行います。

就労移行支援とは、一般企業への就労を目指す障害や難病のある方が利用でき、働くための知識や能力を身につけることができる障害者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつです。

就労継続支援とは、通常の事業所に雇用されることが困難な障害者に、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行う福祉サービスのひとつです。

精神科デイケアとは、生活のリズムを身につけたい、体力をつけたい、対人関係に自信が持てない、就労を目指しているが、まだ自信がないといった思いを持っている人が、グループ活動などのプログラムの参加などを通して自分なりの生活を築いていくことを目的としたものです。

Aさんは、規則正しい生活から段階的に取り組みたいと訴えていることから、自立訓練も答えになる可能性はありますが、問題文で、職場復帰を含めた退院後の生活支援はどれかとなっていることから、精神科デイケアのほうがより解答として好ましいのではないかと考えました。

よって答えは4とします。

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第108回看護師国家試験を解いてみた 問題解説 ALSの対応

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