便秘に効く「大黄甘草湯」と「調胃承気湯」の違いとは?

多くの人が悩む便秘。特に女性には気になる人が多いのではないでしょうか。様々な薬が薬局にも並んでいますが、漢方にも古くから便秘に効くと言われている薬があります。

漢方の中でも「将軍」という別名があるのが「大黄」。便秘に効くのはもちろん、血液の停滞を治すとして、多くの薬に配合されています。


写真はイメージです。 photo by WIKIMEDIACOMMONS

2000年も前から処方されている漢方薬

漢時代の金匱要略にものっている薬で、大建中湯とならんで便秘薬としてポピュラーなのが「大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)」です。その歴史は2000年以上と言われています。

「大黄甘草湯」に配合されている生薬は「大黄」と「甘草」の2つで、大腸の働きを促す効果のある「大黄」と鎮痛作用のある「甘草」が、便秘を解消する時に起こる腹痛を緩和し、穏やかな排便に導きます。

「大黄甘草湯」に効果があるのは、弛緩型便秘と直腸性便秘。弛緩型便秘は、日本人に多いと言われている便秘で運動不足や腹筋の弱い人がなりやすい便秘です。

お腹が張り、水分の少ない硬めの便が出るのが特徴で、美容にも悪影響を及ぼします。また、直腸性便秘は、便意を感じにくいため起こり、排便が困難となる便秘です。痔や排便を我慢している人がなりやすく、こちらも固い便となるのが特徴です。

「大黄甘草湯」は服用してから約8~12時間ほどで便意がくるので、排便したい時間を考えて服用するのがポイントですが、長期の服用の場合は効果が薄れてくるので注意が必要です。また、副作用として胃の不快感や吐き気、腹痛、下痢などがありますが2歳児以上から服用できる安全性の高い薬と言えるでしょう。

便を軟らかくする「芒硝」

この「大黄甘草湯」に「芒硝(ボウショウ)」を加えたものが、「調胃承気湯(チョウイジョウキトウ)」です。「芒硝」とは硫酸ナトリウムのことで、ドイツの医学者グラウバーが医薬として用いたため、「グラウバー塩」とも呼ばれています。


写真はグラウバー photo by Wikipedia

「芒硝」には、便を軟らかくする作用があり、こちらも「大黄甘草湯」と同じく、弛緩型便秘と直腸性便秘に適しており、副作用としては下痢や腹痛、むくみがあります。

「大黄甘草湯」で排便がスムーズにいかない場合は「調胃承気湯」の方がオススメですが、「大黄甘草湯」と共に大黄が腸を刺激するので、妊娠中の女性には向かず、また母乳を通して乳児に影響を与えてしまう場合もあるため、授乳中の女性についても服用は医師への相談が必要です。

 

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