ネイルの気になるトラブル あなたの爪は大丈夫ですか?

[ジェルネイルが流行っています] ネイルというと英語では「つめ」のこと。日本ではネイルといえばマニキュア、ジェルネイル、スカルプチュアなど手や足の爪でおしゃれを楽しむことですね。英語でいうとネール・アートです。 すこし前まではマニキュアが主流。いま、人気があるのはジェルネイルですね。ジェルネイルはネイルをした時の色とツヤを楽しめてはげてしまうこともありません。マニキュアだと色やツヤが長持ちせずにはがれてきますよね。 ジェルネイルは大きく分けるとソフトジェルとハードジェルの2つ。ソフトジェルが主流です。ジェルの使い方でいろいろな呼び名もあります。 街にはネイルリストさんがお店を出しているネイルサロンも見かけます。また、自宅でもできるセルフネイルもあります。若い女性が多いですが、いろいろな年代の女性の方も楽しんでいます。男性でも楽しんでいる方がいますよね。 人気があるジェルネイルですが、爪のトラブルを抱えてしまう方もいるようです。どのようなトラブルがあるのかみていきましょう。 [ネイルのトラブルって何] その前にジェルネイルのやり方を確認してみましょう。 前準備-プレパレーション 1.爪の長さと形や爪の甘皮を整えます。 2.ジェルの食いつきをよくするためにサンディングをおこない、ネイルの表面を軽く傷つけます。サディングが不要なものもあります。 ジェルの施術 3.カラージェルとの食いつきをよくするためにベース用のクリアジェルを塗って、UVライトかLEDライトを使用して硬化させます。 4.カラージェルで色付けします。UVライトかLEDライトを使用して硬化させます。だいたいは複数回行います。 5.クリアジェルで塗ったジェルをコーティングします。UVライトかLEDライトを使用して硬化させます。これで完成。 6.3週間程度楽しめます。 ジェルを落とす-オフ 7.ジェルの表面を少し削ってリムーバーというオフ専用の薬剤が染み込みやすいようにします。 8.リムーバーをコットンなどで染み込ませて爪の上におき、蒸発しやすいのでアルミフォイルで包んでしばらく放置。 9.ジェルが柔らかくなるのでジェルを取り除きます。 ジェルネイルのトラブルってどのようなものなのでしょうか。 ○爪が薄くなる プレパレーションなどで爪をサンディングしすぎる、オフする時に無理にジェルを剥がす、頻繁にジェルの付け替えを行うなどをすると爪の表層が剥がれることや爪が薄くなってしまうことがあります。 爪が薄くなると爪が折れる、割れやすくなる、二枚爪になる、爪を押すと痛みがでるようになります。爪の一部が剥がれてしまう爪甲剥離症になる場合もあります。爪が薄くなってしまったらジェルネイルをやめましょう。爪が生え変わるまで控えてください。 ○爪がはがれる爪甲剥離症 爪の先の部分から根元に向かって爪が剥がれてしまった状態です。爪が伸びて白くなった部分が爪の根元に向かって広がったように見えます。爪が完全に剥れてしまうことはありません。 原因は「爪が薄くなってしまう」ことと同じです。爪甲剥離症になったらジェルネイルの使用はやめましょう。 注意したいのは、爪甲剥離症の原因はジェルネイルだけではないことです。他の病気でもおこることがあります。はやめにお医者さんに相談してください。 ○爪が緑になるグリーンネイル 「爪のカビ」といわれていますがカビではありません。細菌の一種である緑膿菌が爪で繁殖した状態です。カビと細菌はまったく違うものなので、カビが生えたものではありません。 グリーンネイルになると最初は緑色にうっすら変色する程度です。だんだんと変色部分が広がり緑色が濃くなり、広範囲に非常に濃い黒緑色にまでなってしまいます。 うっすら変色した程度の場合には、まずは洗い流してみましょう。洗い流せた場合には消毒して、様子を見てください。うまく洗い流せない場合、心配なときには専門のお医者さんに相談しにいきましょう。可能なかぎりオフしてから相談しにいってください。 ○皮膚炎やアレルギーにも ジェルネイルで使用するジェルやリムーバーなどは、すべて化学物質で刺激の強いものです。刺激によって赤み、かゆみ、水泡が指にできてしまうことがあります。このような症状がでたらお医者さんに診てもらって下さい。とくに、オフするときにリムーバーに指先をそのままつけるなどは絶対に避けましょう。 [ネイルを楽しむには爪のお手入れはかかさずに] いろいろとジェルネイルのトラブルについてみてきましたが、日ごろからお手入れや注意をしていればトラブルを避けられます。どのようなお手入れや注意が必要でしょうか。 ・セルフジェルをする場合には下準備をしっかりおこなって下さい。できれば信頼できるネイルサロンを見つけて施術してもらうのがベターです。 ・とくにセルフジェルの場合にはサンディングのしすぎに気をつけて、オフをした時に十分に剥れない場合には剥れるまでオフしましょう。無理矢理に剥がすと爪を痛めます。 ・ジェルに浮き、ヒビ、欠けが出来ていないかチェックしましょう。 ・指先の水分をきちんと拭きとりましょう。 ・ジェルの交換時期は3週間が目安です。長期間の付けっ放しには気をつけましょう。 ・オフした時の爪の状態に注意を払ってください。 ・短い期間でのジェルの付け替えは爪を薄くするので注意してください。 ・爪をお休みさせる期間をつくりましょう。 爪は健康のバロメーターともいわれています。思わぬ病気が隠れている場合もあります。自分の爪の状態に注意してネイルを楽しんでくださいね。 Continue Reading ->

片頭痛治療薬ラスミディタン FDAへ承認申請提出予定

頭痛は、ありふれた症状のひとつであり、多くの人が悩まされています。痛みの起こり方によりいくつかの種類に分類されますが、そのなかで、片頭痛は日常生活にも支障がでることから、効果的な薬の開発がもとめられています。 片頭痛の症状 頭痛持ちの方の大半は、原因となる他の疾患がなく、繰り返し起こる慢性頭痛に分類されるといわれています。慢性頭痛は、症状の特徴によりさらに、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛に分けられます。 そのなかで、片頭痛は、片側あるいは両側のこめかみから目の周辺にかけて脈打つようにズキンズキンと痛むのが特徴です。患者さんにより異なりますが、月に数回、発作的に症状が発現し、症状は4~72時間程度続きます。吐き気や嘔吐、光や音に過敏になるなどの症状をともなうこともあります。また、片頭痛の直前には、目の前がチカチカする、視野が欠けるなどの前兆や疲労感やむくみなどの予兆を感じる方もいます。 片頭痛が起こる原因については、いまだ不明なことも多くありますが、血管を中心に考え、血管が拡張することにより片頭痛が起こるという血管説や、神経細胞の活動性変化が一次的な要因となると考える神経説、三叉神経の刺激により血管拡張や神経原性炎症が起こり、頭痛が発現すると考える三叉神経血管説がいわれています。 症状が発現すると、痛みにより動くことが困難となったり、寝込んでしまったりと日常生活に支障をきたすこともあり、症状がひどい場合には、医師に相談し、適切な治療を行うことが大切となります。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

中等度から重症の潰瘍性大腸炎治療薬ベドリズマブの承認申請

潰瘍性大腸炎は、年々患者数が増加しており、現在、日本では約17万人の患者さんが罹患していると推定されています。20代の若年層に多く発症がみられ、下痢や腹痛などによりQOLにも影響をおよぼすことから、効果的な治療法がもとめられています。 写真はイメージです。 photo by photoAC 潰瘍性大腸炎とは 潰瘍性大腸炎は、炎症性腸疾患のひとつであり、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる疾患です。 炎症部位は、基本的に直腸からはじまり、連続的に上行へと広がっていきます。患者さんにより広がり方は異なり、炎症が直腸に限局している直腸炎型や、大腸の左側(脾彎曲部を超えない)にみられる左側大腸炎型、大腸全体に炎症がみられる全大腸炎型に分類されます。 おもに、下痢や血便がみられ、腹痛をともなう場合もあります。重症になると発熱や体重減少、貧血などの全身症状が現れることもある他、腸管からの大量出血や中毒性巨大結腸症などの腸管合併症や、口内炎や眼の炎症、関節炎などの腸管外合併症が発現することもあります。また、発症から長期経過すると大腸がんを発症するリスクが高まることも報告されています。 治療法 潰瘍性大腸炎は、症状の改善(寛解)と悪化(再燃)を繰り返しながら経過するため、治療では、炎症状態を抑えて症状をしずめ、寛解状態を維持することが目標となります。 治療は、薬物療法が基本となり、患者さんの病態に合わせて、炎症を抑える薬や免疫抑制剤、生物学的製剤が選択されます。薬物療法で上手くコントロールできない場合には、外科手術が行われる場合もあります。 薬物療法では、炎症を抑え、再燃を予防する効果のある5-アセチルサリチル酸(5-ASA)製剤が基本となり、炎症が強い場合や速やかな効果を望む場合、5-ASA製剤で効果が不十分な場合にはステロイド製剤が使用されることもあります。ステロイド製剤でも十分な効果が得られない場合や、ステロイドの中止により再燃する場合には、免疫を調節もしくは抑制する薬や、炎症性サイトカインであるTNFαの働きを抑える抗TNFα製剤が選択されます。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

訪問歯科医療ー自宅で生活の質を保ち、向上させる歯科診療

■はじめに 我が国は高齢社会となりました。高齢化の進展に伴い、何らかの身体的理由、もしくは精神的理由などにより、歯科診療所に通院して治療を受けることが難しい患者さんが増えてきました。 こうした歯科診療所に通院しにくい患者さんにも、歯科治療のニーズはあります。 そこで、歯科医師や歯科衛生士が患者さんの自宅や、入院中の病院、入所中の社会福祉施設などに訪問して、歯科治療や口腔ケアを行なうようになりました。これを在宅歯科医療といいます。 在宅歯科医療についてまとめてみました。   ■在宅歯科医療の目的 お口から食事を摂取するということは、とても大切です。点滴でも栄養は入りますが、その量は限られますし、腸を通して栄養を吸収しないため、腸内細菌の働きが低下し、身体が弱くなることがわかっています。 お口から食べることが出来ないのが、食べ物が噛みにくくなっていることが原因なら、その治療をしなければなりません。すなわち、むし歯の治療や入れ歯の作成、調整などです。歯がぐらぐらして噛めないのなら、抜歯も必要でしょう。 食べるという行為そのもののが難しくなっているのなら、もう一度お口から食べることが出来るように、食べたり飲み込んだりするためのリハビリテーションが必要となります。 また、お口の中をきれいにしておかなければ、お口の中の細菌を飲み込んでしまうことによる誤嚥性肺炎という肺炎を引き起こすリスクが高まります。肺炎は、日本人の死亡率の3〜4位を毎年占めている恐ろしい病気です。 寝たきり状態になると、自分でお口の中をきれいにすることも難しくなります。家族の方がきれいにするのも限界があります。そこに、歯科医師や歯科衛生士といった口腔ケアのプロフェッショナルが介入する意義があります。歯科医師や歯科衛生士が定期的にお口全体をきれいにすることにより、お口の中の細菌数を減らし、ひいては誤嚥性肺炎のリスクを低下させることが出来ます。 通院出来ない患者さんに対して、訪問してこうした歯科治療を行なうことは、患者さんの生活や健康を保つ上でとても大切なことです。 したがって、在宅歯科医療の目的は、お口の機能を維持して患者さんの生活の質を向上させる点にあります。   ■歯科医療の需要の将来予想 厚生労働省では、歯科医療の需要について、健常者タイプと高齢者タイプにわけて将来の予想をしています。 健常者タイプでは、従来と同じく、むし歯の治療で詰めたり被せたりすることによる歯の形態の回復が中心とされます。むし歯になれば、歯を削って詰めます。しかし、詰めたところからむし歯が再発し、今度は歯の神経をとって被せもの治療を行なう。さらに悪化すれば抜歯して入れ歯を作る、と繋がっていく治療です。しかし、むし歯の減少により、このようなむし歯治療そのものの需要が減少していくと予想しています。 その代わりに増加していくと考えているのが、高齢者タイプの歯科医療です。これは歯の形態の回復よりも、お口の機能そのものの回復をメインとした歯科治療です。お口の機能の回復とは、食べたり話したりという機能の回復のことです。 お口の機能の回復とは、食べたり飲み込んだりするためのリハビリテーションだけではありません。たとえば歯がグラグラしている場合を例にとりますと、そのままでは痛くて噛めません。通常であれば抜歯してブリッジや入れ歯を作ります。しかし、何らかの病気があってリスクが高い場合は、あえて抜歯をせずに歯根だけの状態にして残して、残りの歯で噛めるようにするといったことです。見た目は良くないですが、機能的には問題のない状態にするということも含まれます。 高齢者タイプの歯科医療では、自立度の低下、全身的な病気の増加、加齢によるお口の状態の変化が起こってきます。こうしたことに伴って、歯科治療のリスクや難度も上昇していきます。 高齢者タイプでは、自立度が低下することにより歯科診療所に通院出来ない患者さんが増えていくと考えられています。そこで在宅歯科医療の需要が増してくると予想されています。   ■平成28年度の診療報酬の改定 ○平成28年度の診療報酬の改定について 保険診療の診療報酬は、小さな改定は随時行なわれますが、医科も歯科も2年おきに大きな改定が行なわれます。この2年おきの改定では、厚生労働省の医療を今後どのような方向に運営していきたいかという考え方が反映されています。 平成28年度の改定では、かかりつけ歯科医機能・チーム医療・医科歯科連携・生活の質に配慮した歯科医療の推進などが主たるポイントでした。そして、そのひとつに『在宅歯科医療の推進』がかかげられています。   ○在宅歯科医療の推進について 平成28年度の改定にある『在宅歯科医療の推進』については、4つのポイントがあります。 ひとつは、摂食機能障害というお口で食事が難しくなった患者さんに対するお口の機能維持です。ふたつめは、在宅歯科診療の適正化です。その次は、実態に即した歯科訪問診療料の評価で、最後に在宅歯科医療専門の医療機関に対する評価となっています。 この4つのポイントを反映するように、診療報酬が改定されました。   ○歯科訪問診療料の変更 効率的に、そして効果的に訪問歯科医療を行なえる体制を構築するという目的により、歯科訪問診療料の選定基準が変更されました。   ○在宅歯科医療専門の在宅療養支援歯科診療所の指定 在宅歯科医療とは、すなわち歯科医師が往診で、歯科診療所以外で行なう歯科医療のことです。 健康保険法では、歯科診療所に通院してくる患者さんの治療を行なえる診療体制を構築しておくことが必要とされています。しかし、平成28年の改定により通院出来ない患者さんを対象とする在宅歯科医療を専門とする歯科診療所が認められるようになりました。 在宅歯科医療を行なっている患者さんの割合が95%を超えているなどの一定の条件を満たせば、在宅歯科医療専門の歯科診療所として認められます。 在宅歯科医療専門の歯科診療所と認められれば歯科訪問診療料の算定が可能となり、そうでない歯科診療所よりも在宅診療時の診療報酬が優遇されます。   ■在宅歯科医療の歴史 ○診療報酬の移り変わり 歯科医師が、往診で患者さんの自宅に歯科治療に伺うことは以前からありましたが、在宅診療に特別な診療報酬はありませんでした。保険診療の診療報酬に明記されたのは、昭和63年以降のこととなります。 昭和63年に『在宅患者訪問診療料』として初めて保険診療に診療報酬が新設されました。『在宅患者訪問診療料』を請求出来る条件は、常時寝たきり状態か、それに近い状態である患者さんに定期的に訪問して診療を行なっていることと明記されていました。 その後、『在宅患者訪問診療料』は、『歯科訪問診療料Ⅰ』と『歯科訪問診療料Ⅱ』に変更されました。 『歯科訪問診療料Ⅰ』は、自宅で療養しているけれども、歯科医院に通院するのが難しい患者さんに、訪問して歯科治療を行なった場合が対象でした。そして、『歯科訪問診療料Ⅱ』は、自宅では社会福祉施設に入所中の患者が対象でした。 『歯科訪問診療料Ⅰ』『歯科訪問診療料Ⅱ』は、現在では『歯科訪問診療料1』『歯科訪問診療料2』『歯科訪問診療料3』に変わり、現在に至ります。 新しい『歯科訪問診療料1』『歯科訪問診療料2』『歯科訪問診療料3』の算定は、訪問歯科医療専門の歯科診療所にのみ認められるようになりました。 『歯科訪問診療料1』『歯科訪問診療料2』『歯科訪問診療料3』は、歯科医師が同じ建物に住んでいる通院が難しい患者さんを、1日に何人治療するかによって選択します。 『歯科訪問診療料1』は1日1人、『歯科訪問診療料2』は1日2〜9人、『歯科訪問診療料3』は1日10人以上です。ただし、『歯科訪問診療料1』『歯科訪問診療料2』は、1人あたりの診療時間が20分以上である必要があります。治療途中に患者さんが急変するなどの理由により20分に満たない場合や、20分以上診療することが患者さんの体力やその他の理由で難しい場合は、その限りではありません。 訪問歯科医療に特化した歯科診療所を優遇することで、在宅歯科医療を推進する現在の厚生労働省の考え方がわかります。 このように、保険診療の制度面でも訪問歯科医療の扱いは変化し続けています。   ■在宅歯科医療で必要となる器材について 在宅歯科医療で外来と同じ様なレベルの診療を行なうには、ミラーやピンセット以外に専用の器材が必要となります。 ○ポータブルユニット 持ち運びタイプの歯を削る器材です。水道や電気は訪問先で提供してもらう必要がありますが、訪問先にこの器材を持ち込むことで、訪問先で歯を削ったり、入れ歯を調整したりすることが可能になります。 ○ポータブルレントゲン 持ち運びタイプのレントゲン撮影器材があります。これを用いることで、訪問先でもレントゲン写真による検査が可能になります。 ○ポータブルライト お口の中は暗いので、お口全体を影が生まれないように明るくする専用のライトです。 ○車いす用安頭台 車いすの背やハンドルにつける枕です。頭を動かないように固定することが出来るので、車いすに座ったまま治療が行なえます。   ■まとめ 在宅歯科医療は、通院が難しい患者さんのお口の機能維持を目的に厚生労働省も推進しており、高齢社会の進展に伴い今後需要が増大すると考えられています。。 これにより、通院が難しくても、食べたり話したりといった日常生活を維持し、お口をきれいにすることで誤嚥性肺炎などの病気の予防が図られます。 在宅歯科医療に使う専用の器材もいろいろな製品が販売され、年々充実してきています。 通院が難しく、効果的で適切な治療を受ける機会が少なかった患者さんにとって、在宅歯科医療は、生活の質を保ち、かつ向上させることができる歯科治療として、これから広がっていくことが考えられます。     Continue Reading ->

血友病Aに対するエミシズマブの有用性

現在、血友病患者さんは、日本に6000人程度いると言われており、年間50~60人が新たに発症しています。以前は、20歳までは生きられない病気と言われていましたが、現在では医療が進歩し、健常人と変わらない年齢まで生きることが可能となってきています。 血友病とは 通常、血管がやぶれ出血すると、血液中の成分が損傷部位で固まることで血管外へ血が出ていくのを防ぐ、止血という生体防御反応が起こります。そのさいに重要な働きをしているのが凝固因子です。凝固因子は、第Ⅰ~ⅩⅢ因子まで存在し、それらが連鎖的に活性化することにより、止血を促しています。 血友病は、凝固因子の異常により、止血がうまく出来ず、出血が止まりにくくなる先天性の疾患で、男性に多く発症します。遺伝や突然変異により発症し、第ⅩⅢ因子の低下または欠乏がみられるものを血友病A、第Ⅸ因子の低下、欠乏がみられるものを血友病Bと分類します。血友病A患者さんの割合が多く、全血友病患者さんの約8割を占めています。 凝固因子の欠乏により、身体のさまざまな部位に出血がおこりますが、出血しやすい部位は年齢によって異なります。赤ちゃんのころは、皮下出血が多くみられますが、大きくなり運動量が増えていくと関節内や筋肉内での内出血が多く発現するようになります。また、出血を繰り返すことにより、関節の破壊による機能障害などの慢性の障害が発現することもあります。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

大人のゲーム依存症 ゲームをやめたいと思って、やめられなかったことはありませんか<後編>

<前編>ではゲーム依存症の増加や特徴についてみてきました。ゲーム依存症について、さらにみていってみましょう。 [ゲーム依存症になると] ゲーム依存症になるとからだにどのような影響がでるのでしょうか。主婦の方は仕事を家事や育児に置き換え、職に就いてないかは仕事の部分を省いてみてください。 睡眠不足や睡眠障害へ ゲームを夜遅くまでやってしまう、寝床に入ってもゲームをやってしまうことによって睡眠時間が短くなる、なかなか寝付けないなど睡眠不足の症状が現われるようになります。 朝起きられずに会社に遅刻する、睡眠不足のために昼間眠くなってしまうことで仕事の能率が下がる、眠たくて仕事にならないといった影響が出ます。仕事を休んでしまうこともあります。 仕事へ影響がでる 仕事への影響は睡眠不足だけではなく、ゲームが生活の大半を占めて仕事より優位になってきます。そのため、仕事がおろそかになる、仕事への集中力を欠くようになります。また、仕事への責任能力が薄れ、仕事の業績への低下がみられることがわかっています。ひどくなると仕事を辞めてしまうこともあります。 ゆううつ気分や無気力へ ゲームはドーパミンの放出を増加させますが、長時間ゲームを行うと多くのドーパミンを放出します。これを繰り返しているうちにドーパミンへの脳に耐性ができてしまい、より、多くのドーパミンを求めるようになります。 しかし、ドーパミンの生産量には限界があり、回復にも時間がかかります。ゲームを繰り返すうちにドーパミンの欠乏からゆううつ気分や無気力が生じます。進んでしまうと、うつ状態にまでなるといわれています。 人間関係が希薄に ゲームの世界に浸ってしまうと、会社関係の同僚や部下、友人などとつき合うといったことが少なってきます。そのために人間関係が希薄になっていきます。希薄になることで人間関係に緊張感や不安感を感じるようになって消極的になっていきます。大人でも閉じこもりといったことがあらわれる場合もあります。 神経が過敏になる ゲームの依存が強くなれなるほど、ゲームをしていないとイライラする、感情的になるなど攻撃性が強くなることがみられます。また、現実世界とゲームの世界の区別がつかなくなり混乱してしまうこともあります。 家庭に問題が起きる 家庭にいてもゲーム主体の生活をするようになり、仕事から帰ってきて夜遅くまでゲーム、休日もゲームといったことがみられ、ゲームを中断されるようなことやゲームのやりすぎを注意されて感情的になってしまうようなこともみられます。 その結果、家族との関係が疎遠になり、夫婦関係や家庭関係にヒビがはいるようなります。家族崩壊にも繋がりかねません。 経済的破綻へつながる 大人はお金やクレジットカードが自由に使えます。課金するとゲームの中で強くなれます。強くなるとゲームの仲間から賞賛され、頼られたりもします。ゲーム内のイベントなどあるとそのたびに課金をします。その結果、だんだんとゲーム内での課金額が増えるようになっていき、課金に歯止めが効かなくなります。 あるだけの現金でゲーム専用カードを買う、クレジットカードを利用限度額一杯まで使う、消費者金融などからお金を借りるといったことがでてきます。働いたお金は借金に消えていき、ひどくなると自己破産といった事態も招きます。 さまざまな身体症状が現われる 長時間ゲームをすることでからだのあちこちに影響を及ぼします。ゲーム画面を何時間も見続けるための視力の低下、ドライアイ、角膜障害などを起こします。よくみられるのが頭痛、首痛、肩こり、腱鞘炎、手根管症候群などです。 ゲーム時間を多くなることで運動不足になり肥満にもつながります。座り続けることによって腰痛、痔などの原因や悪化にも繋がります。ゲームに依存してしまうとこのような症状がでても、無理してもゲームをして、さらに体調は悪化します。ひどくなると悪くなっても気が付かないという場合もあります。 ゲームをやめることができない もちろん、これらの状態に気が付いて、ゲームをやめなくてはいけないという意識も働きます。しかし、依存のほどが強くなると、やめようとしてもやめられなくなっていることが多く見られます。このやめることができないのが依存症の典型的な症状です。一度、やめたつもりでも、またゲームの世界に戻ってしまうケースも多くみられます。 ゲームに依存してしまっている状態からどのようにしたら抜けられるのでしょうか。 [ゲーム依存症は自覚から] ゲーム依存症について重要なのは、本人の自覚と依存から離脱するという意思が必要になりますが、「やめようと思えばすぐにやめられる」、「自分より長時間やっている人や課金している人がいる」、「誰にも迷惑はかけていない」などと考えて自分自身の問題から避けようとすることがあります。 また、よく問題となるのがゲーム仲間です。ゲーム仲間といると楽しいと思う、安心できると思う、ゲーム仲間が頼ってくれる、ゲーム仲間に迷惑をかけられないという意識が働いてやめることができない方もいます。 ゲームをやめなくてはならないと意識のある方ができる取り組みは以下のようになります。まずは、書き出してみて現実を把握してみましょう。 ・ゲームに費やした時間や課金額を紙に書き出してみる。そのために起こったことも書き出す。 ・ゲームのために失った事やゲームで何が得られたかを紙に書き出してみる。得られたことはありましたか。 ・スマホやパソコンの管理を家族に任せる。課金できないようにクレジットカードを家族に渡す。 ・ゲーム以外で楽しめる趣味を見つける。 しかし、本人の治療意欲が低い、家族は気がついているが本人に自覚がないか自覚しようとしない、ストレスなどの精神的な問題を抱えているなどの場合には簡単にはやめられません。 アルコール中毒、薬物中毒をやめようとしたときにでる離脱症状がゲーム依存症にあることが知れています。同じように再発のあることも知られています。また、うつ病患者がゲームの世界に逃避するケースもありますので注意が必要です。 現在、ゲーム依存症を含めた「ネット依存症」は国際的に精神疾患として認定されておらず、WHOの「疾病および関連保健問題の国際統計分類第10版」にはネット依存症が掲載されていません。 WHOは次回の2018年の改訂に向けて「ネット依存症」のワーキンググループが作られ、取り入れることを表明しています。国内においては、治療を行う専門的な医療機関は少ないのが現状ですが、ネット依存症を専門的に扱う医療機関もあります。 少しでも本人に自覚があるがやめられない場合、家族が気がついていても本人の自覚がない場合には、本人もしくは家族が医療機関に相談してみましょう。 [病院への相談も考えてみましょう] ネット依存症の治療では薬物療法は行いません。カウンセリングや認知行動療法などの心理療法がおこなわれます。具体的な治療の例をみてみましょう。 「久里浜医療センターのネット依存治療部門」では、初診時から4回かけて体と心の状態の評価をします。診察に4回もの時間をかけるのは、患者さんの心身の状況を正確に把握し、患者さんと臨床心理士が良好な関係を築くためです。 臨床心理士などとの個人カウンセリング、集団ミーティング、体力回復のための運動、ネット依存からの回復することを方法など学ぶ認知行動療法がセットになった治療を行います。場合によっては入院治療も行います。 また、ネット依存症の家族会や自助グループも各地にありますので相談してみてもいいでしょう。 ゲームが好きな方は多いと思います。気晴らしでゲームをおこなうことは悪いことではありません。ゲームがすべて悪いのではなく、ゲームと生活のバランスを崩さないことが大事です。バランスが崩れると依存症へと進むきっかけになってしまいます。 バランスを崩さないように、ほどほどにゲームを楽しんでくださいね。ほどほどにゲームを楽しんでいる方を参考にして、遊ぶといいかもしれません。 Continue Reading ->

大人のゲーム依存症 ゲームをやめたいと思って、やめられなかったことはありませんか<前編>

[最近のゲーム事情] 家庭用ゲームが普及しはじめた頃には据置型のゲーム機が主流でした。その後に、携帯型ゲーム機が普及していきます。 一方で、携帯電話(以下、ガラケーと記載)の普及にともなって、ガラケーを使ってどこでも気軽に遊べるゲームが急激に増えました。今ではスマートフォン(以下、スマホと記載)の急速な普及でスマホが主役になっています。また、パソコンも多くの家庭で使われるようになり、パソコンでも同じようなゲームが遊べます。 昔のゲームは「ゲームソフト」を購入して1人もしくは数人で遊ぶものでクリアしてしまうとだいたいは飽きて終了です。 今のゲームはインターネットを使用し、オンラインでリアルタイムに繋がっています。1人で遊ぶこともできますがネット上で複数人で遊ぶゲームが多く見られます。クリアして終わるというシステムではなく、いろいろと飽きさせないように新しい仕組みやアイテムなどを追加されて長く遊べるのが特徴です。出口のないゲームともいわれます。 これらのゲームは、だいたいは無料で、気軽に始められるようになっています。ゲームにでてくるさまざまなキャラクター、クエストやイベントをクリアする、ほかのユーザーとの交流する、ほかのユーザーと協力してプレイするなど誰でも楽しめるように作られています。 また、課金することでしか手に入れられないアイテムや期間限定のアイテムが設定されています。ゲームを進めていくにつれて、強くなりたい、ゲームを有利に進めたい、欲しいキャラクターがあるなど課金させるような仕組みになっています。 [ゲーム依存症が増えています] ネットゲームは手軽さから爆発的に普及します。普及するにつれてゲームにのめりこんでしまうネットゲーム依存症(以下、ゲーム依存症と記載)の問題が取りざたされるようになりました。この問題はスマホが普及してからではなく、ガラケーの頃から問題は出ていました。スマホやパソコンの普及がゲーム依存症の増加に拍車をかけました。 2013年の調査でパソコンやスマホが原因のネット依存症の傾向のある成人男女が全国で推計421万人に上ることがわかっています。成人男女と子供を合わせると500万人を超えると推定されています。その数は、年々増加しています。 ネット依存症の男女比は5:1で男性に多く見られます。ここでいっているネット依存症は大きく「ゲーム依存」と「SNS依存」に分けられます。男性にゲーム依存が多く、女性ではSNS依存が多くみられます。 ネット依存症の多くはゲーム依存症です。子供や中高生のネット依存症については、よく、とりあげられていますが、大人のゲーム依存症もあなどれないものです。 今回は、大人のゲーム依存症についてみていきましょう。子供や中高生のネット依存とも同じような側面もあるのですが、大人は経済的自由があり、生活面の自由もある程度あることが異なってきます。 [ゲーム依存症の特徴は] ゲーム依存症になぜなってしまうのでしょうか。イギリスの研究結果で興味深い報告されています。 ゲーム開始前と終了後で比べると、幸福や充実といった心地よさを感じるドーパミンの放出が2倍に増えることが確認されています。覚せい剤を静脈注射したときのドーパミンは2.3倍とされています。覚せい剤に匹敵する量です。「デジタル・ヘロイン」という言葉もあるほどです。脳の働きの一部として心地よさを一度覚えると繰り返し求めるようになります。そのために依存性が出てきてしまいます。 さらに、本人の生活や性格も関係します。自分の衝動や欲望をコントロールが上手くできなる、対人関係や会社の仕事にストレスを感じている、自分の思っていることが言えないなどがあると脳はバランスをとろうとしてゲームで覚えた心地よさを求めるようになります。 ほかにも、承認欲求といって誰かから自分を認めてもらいたい、注目されたいなどの感情が強い人もゲームの世界に自分を求めるというケースもあります。 中国の研究では大脳に悪影響を及ぼすことが報告されています。大脳のネットワークに異常が発生して正常に大脳の働きができなり、怒りっぽくなる、理性が効かなくなる、無気力になる、うつ状態や情緒不安定になる、注意力の低下する、自閉的な傾向が強まると報告されています。別の中国の研究では脳内でアルコール依存症と同じ変化が起きることがわかっています。 ゲームをやっている方は、自分がゲーム依存症かどうか気になりますよね。しかし、気がついていない人や認めようとしない人が多いといわれています。ゲーム依存症は「否認の病気」といわれています。気が付いても認めようとしない人は少なくありません。 ゲーム依存症の特徴は個人差がありますが、どのような特徴があるのでしょうか。 ・ゲームに没頭してしまう。長い間に渡ってゲームを続けている。ゲームをしていな時もゲームのことを考えてしまう。 ・ゲームをしていない時にイライラする、なんか不安な感じなる、機嫌が悪くなる、ほかのことにやる気がおきない。 ・惰性でゲームをやっていると感じることがあるがやめられない。やめようとした事があるがやめられなかった。 ・少しだけのつもりでゲームをやり始め、気が付くと長い時間ゲームをやっている。 ・今までに持っていた趣味や遊びに感心がなくなった。 ・ゲームを夜遅くまでやっていて、いつも寝不足を感じる。ゲームをやるために早い時間に起きることがある。ゲームのために時間を合わせて行動する。 ・ほかの人とゲームの話をするときに、「そんなにやっていないよ」など嘘をつくようなる。 ・ゲームについて他人から否定されると怒りの感情がおきる。ゲームをやるのは自分の勝手だと思う。 ・仕事の昼休みや休憩時間にほとんどゲームをやっている。仕事中でもゲームをやることがある。ゲームのために会社を休んだことがある。 ・家庭では食事や入浴など以外はゲームから離れられない。家族との会話が少なった。夫婦仲が悪くなった。ゲームをしている時に家族に話しかけられるとイラッとする。 ・ゲームをやっていると安心する。ゲーム内で知り合ったほかの仲間のプレーヤーと交流するのが楽しい。仲間のために無理をしたことがある。 ・課金に歯止めが効かなくなっている。あと、いくらまでと思っても欲しいものが手に入るまで課金をやめられない。課金するために借金をした(クレジットカード払い含みます)。 具体的な依存症への危険度の判定はネット依存症の専門外来がある久里浜医療センターのネット依存治療部門ページにスクリーングテストがありますので試してみてください。 ここまで読んでいかがだったでしょうか。思い当たることはありましたか。<後編>ではゲーム依存症になるとどうなるか、ゲーム依存症をやめるにはといったところをみていきましょう。     Continue Reading ->

関節症性乾癬に対するイキセキズマブの有用性

関節症性乾癬は、乾癬患者さんの約10%にみられる関節炎であり、進行すると関節の変形や機能障害によりQOLの低下を引き起こします。治療により、問題なく生活を送れるようになる方もたくさんいる一方で、十分な効果が得られない患者さんもいるため、効果的な治療法がもとめられています。 関節症性乾癬とは 関節症性乾癬は、皮膚症状のみられる乾癬に関節炎が合併する疾患です。多くは、皮膚症状に続いて関節症状がみられます。 手や足の先に近い関節に炎症が発現しやすく、腫れや痛み、変形を伴います。症状は関節リウマチに似ていますが、皮膚症状がみられる以外にも、関節症性乾癬特有の爪症状がみられることや、脊髄や腱、靭帯にも炎症が起こるのが特徴です。また、ソーセージ指と呼ばれる手足の指全体の腫れがみられることもあります。 命を落とすことはないものの、進行すると関節の不可逆的な変形が起こり、機能障害を生じるため、早期から適切な治療を行うことが大切です。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

スポーツと歯科〜マウスガードで外傷を予防しよう〜

■はじめに 近年、マウスガードを使ってプレーするスポーツ選手が多くなってきました。マウスガードは、どうして作られるようになったのでしょうか。そして、その目的は何なのでしょうか。まとめてみました。   ■スポーツ歯科学ってなに? スポーツ医学という学問があります。ヒトの身体の仕組みを研究し、スポーツ選手の運動能力を向上させ、効果的な動かし方や、故障の予防や治療を行なうがその目的です。 スポーツ歯科学とは、スポーツ医科学の歯科版です。歯科医学の方面から、全てのスポーツ競技に適切な助言や診査、管理、必要に応じて治療を行なう、そして、専門的な情報を提供するのが目的です。 具体的には、スポーツを通しての国民の健康づくりに貢献すること、スポーツによるお口や歯のケガを未然に防ぐこと、スポーツ選手の運動能力を向上させ、競技力の維持・向上を図ることを目指しています。   ■スポーツによるお口や歯のケガ スポーツ歯科学で主に行なわれているのが、スポーツによるお口や歯のケガを防ぐことです。 ○お口や歯のケガの割合 実はお口のケガや歯のケガは珍しくありません。 もっとも多いのが、交通事故が原因のケガです。近年はシートベルトの着用率やエアバッグの普及率の上昇によって減少していく傾向にありますが、現在でも交通事故がお口や歯のケガの原因のトップで4分の1から3分の1をしめています。 2番目に多いのが、転倒や転落を原因とするもので、お口や歯のケガ全体のおよそ4分の1ほどを占めております。 この次に多いのがスポーツによるお口や歯のケガになります。   ○スポーツの種類ととお口や歯のケガ スポーツによるお口や歯のケガといえば、ボクシングやカラテ、日本拳法といった格闘技やラグビー、アメリカンフットボールなど、選手と選手がぶつかることがあるスポーツが原因であると想像してしまいがちです。 ところが、最も多いのは野球です。競技人口が多いというもの影響していると考えられますが、ボールやバットが顔面にあたってケガの頻度は無視出来ません。近年のサッカー人口の増加により、サッカーでボールや他の選手に当たってケガをするケースも増加する傾向にあります。 意外なところでは卓球も原因のスポーツにあげられます。卓球は、競技中、食いしばった時に自分自身の歯で唇などを噛んでしまうことが原因です。 このように、格闘技系でないスポーツであってもお口や歯のケガを招来することがあり、危険性は無視出来ません。 このスポーツによるケガから、お口や歯を守るのがマウスガードです。   ○お口や歯のどこにケガが生じやすいの? 唇や頬、舌を噛むことでもお口のケガが生じます。軽い症状なら押さえればすぐ止る程度の出血から、唇を貫通し皮膚にまで達する様な大きなケガまで、ケガの程度はさまざまです。 唇や頬といった軟部組織以外に、歯や顎骨など硬組織のケガもあります。 ヒトの永久歯は、一度失うと二度と生えてくることはなく、欠けても自然に治ることはありません。スポーツでも歯が抜けてしまったり、折れてしまったりすることがあります。 スポーツによるケガでよく抜けたり折れたりするのが、上顎の前歯です。上顎の前歯を失うと、見た目が悪くなりますし、前歯で食べ物を噛み切ることが出来なくなります。声を出す時に空気が抜けてしまうため、はっきりと発音することも難しくなってしまいます。 スポーツが原因で上顎骨や下顎骨の骨折を起こすことも稀ではありません。 上下顎骨の骨折は、下顎によく起こります。骨折を起こす頻度が高い部位は、下顎骨の中でも前歯部や角の部分です。ついで顎関節部の骨折が挙げられます。 顎骨が骨折すると、食事が難しくなること、お口の中の雑菌が骨折部位に感染して化膿するおそれがあることなどから、全身麻酔下での手術をしなければならなくなることがあります。全身麻酔下で手術を受けるために、長期間入院することになるので、学校や仕事に大きな影響が出ます。 なお、こうしたケガは、実は熟練者よりも初心者によく起こるといわれています。   ■お口や歯のケガからマウスガードで守る ○マウスガードってなに? スポーツによるお口や歯のケガを未然に防ぐために使われるのが、マウスガードです。マウスガードは、マウスピースやマウスプロテクターともよばれ、ボクシングで使われているものが有名ですが、それ以外のスポーツでも使われています。 マウスガードには、歯科医院で作ってもらうものと、スポーツ用品店などで販売されている既製品のものがあります。 世界で最初のマウスガードは、1892年英国で作られましたものになります。ボクシング選手の依頼に応じてゴムで手作りしたもので、これが最も古いマウスガードだということです。 それまでは、マウスガードを使わないでボクシングをしていたましたが、歯を折ったり、顎骨の骨折を起こすことも珍しくありませんでした。そこで、試合中に受けるパンチの力を弱めるために上下の歯の間にゴムを入れることが考案され、マウスガードが作られました。   ○マウスガードの目的 マウスガードを装着することで、上顎の前歯など1カ所に集中する力を、歯並び全体に逃すことが出来ますので、歯が抜けたり折れたりするのを防ぐことが出来ます。顎骨の骨折や、外傷性顎関節症という力が顎関節に急激にかかることで生じる顎関節症を予防することも可能です。 マウスガードは、スポーツによるケガから歯やお口を守ってくれます。   ○マウスガードが義務化されているスポーツ スポーツには、マウスガードの使用が義務化されている場合があります。具体的にはボクシング・キックボクシング・K−1・カラテの一部・アメリカンフットボール・ラグビーの一部・ラクロス・インラインスケートです。 もちろん、この他のスポーツはマウスガードをしてもしなくても全く関係ないというわけではありません。 アイスホッケーやサッカー、柔道、相撲、バスケットボール、水泳をはじめとしてマウスガードの使用が効果的とされるスポーツはたくさんあるのです。   ○既製品のマウスガード スポーツ用品店で販売されているマウスガードは、お湯につけて軟らかくしてから歯にあわせるマウスフォームドタイプが多いです。お湯で軟らかくさせてから作るので、マウスガードでお口を火傷するリスクがあります。歯にピッタリあわせるのも難しいので、外れやすくガタガタしたマウスガードになってしまうことも多いです。 噛み合わせもしっかりあわせにくいので、食いしばって力を入れようとしても難しいこともあります。   ○歯科医院で作るマウスガードのメリット 歯科医院で作るマウスガードより、既製品のマウスガードの方が安く手に入れられます。 しかし、既製品のマウスガードは、サイズが大きかったり、分厚かったりすることが多く、どうしても違和感が生じてしまったり、話しにくいなど使い勝手が悪かったりします。噛み合わせもきちんと調整することが出来ないので、使っているうちに顎関節症になったり、歯並びに影響が出て噛み合わせに違和感が生じたりすることも珍しくありません。 一方、歯科医院で作るマウスガードは、ひとりひとりにオーダーメイドで製作されます。一人として同じ歯並びをしている人はいませんから、オーダーメイドで作ることにより、市販のものよりもフィット感がとてもいいのが特徴です。厚みも薄く、最小限度の大きさで仕上げることができるようになります。 歯科医師は、噛み合わせの専門家でもあります。歯科医師が出来上がったマウスガードを調整することにより、歯並び全体でしっかりと噛みしめることが出来るようになります。お口や歯を守るためにマウスガードを作っているのに、顎関節症を起こしては意味がありません。マウスガードの噛み合わせを歯科医師が装着時に調整しておくことで、顎関節症を起こしにくいマウスガードになります。 市販されているマウスガードよりも、歯科医院でオーダーメイドで作られたマウスガードの方が、いろいろな点で非常に優れているといえます。   ■噛みしめと運動能力の関係 最後に、スポーツ歯科学の点から、噛みしめとスポーツについてお話しします。主題のマウスガードとは少し道がそれてしまいます。 現在、スポーツ歯科学では、噛みしめるという行為と運動能力の関係についても研究が行なわれています。 上下の歯で噛みしめる、もしくは食いしばると、全身の筋力を瞬間的に強めることが出来ることがわかっています。重たいものを持ち上げるときなど、上下の歯を噛みしめると、より力を込めやすくなるのはそのためです。 噛みしめる力はとても強く、研究によると健康な成人男性で最大で100[kg]、平均すると約60[kg]もの力で噛みしめることが出来ます。これほどの力がかかると、場合によっては歯が割れたり折れたりすることもあります。 マウスガードには、噛みしめの力から歯を守る作用もあります。マウスガードを使うことで、瞬間的に筋力を強めたいときに、強い力から歯を守ることができます。 ところで、噛みしめるという動作には、全身の筋肉を強ばらせるので関節を固定させる効果もあります。関節を固定するということは、身体そのものをしっかり固定させることにもなります。すなわち、噛み締める動作が身体を安定させることにつながります。 ところが、身体を固定させることは、素早い動きが必要とされる場面では、逆効果になってしまう可能性が考えられます。 スポーツといっても様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。向上させたい身体能力についてもスポーツによって異なります。噛みしめるという行為が運動能力を向上させることに寄与しているかという点については、研究途上であり、結論がまだ出ていません。 Continue Reading ->

早期妊娠高血圧腎症に対する予防的アスピリン投与の効果

妊娠高血圧症候群は、妊婦さんだけではなく赤ちゃんにも影響を与え、場合によっては合併症や母児の死亡の原因となります。発症すると厳重な管理が必要となりますが、発症後の治療法だけではなく、発症リスク低下に効果的な予防法の確立も求められています。 写真はイメージです。 photo by photoAC 妊娠高血圧症候群とは 妊娠高血圧症候群は、妊婦さんの7~10%に発症するといわれています。 妊娠20週以降、産後12週までに高血圧(140/90mmHg以上)がみとめられた場合に、妊娠高血圧症候群と診断されます。また、高血圧に加えて、タンパク尿や浮腫が発現する場合もあり、0.3g/日以上の尿中タンパクがみとめられる場合には、妊娠高血圧腎症に分類されます。 多くは妊娠32週以降に発症しますが、32週未満の早期にも発症する場合があります。早期の発症は、重症化しやすく、さらなる注意が必要です。 重症化すると、母体では、けいれん発作や肺水腫、腎機能障害、肝機能障害や溶血、血小板減少をともなうHELLP症候群などの症状が発現する危険性が高くなります。また、母体だけではなく、赤ちゃんにも発育不全や、常位胎盤早期剥離による機能不全が起こり、死亡につながる場合もあります。 妊娠高血圧症候群は、いまだ不明なことも多くありますが、リスク因子はいくつか判明しており、主に、以前の妊娠時に妊娠高血圧症候群を発症した場合や高齢(40歳以上)での妊娠、初妊娠、多胎妊娠、肥満、糖尿病や高血圧、腎障害などの合併症をもっている、高血圧の家族歴がある場合などに発症リスクが高くなることが知られています。 高リスク妊婦さんに対する予防法 すでに欧米ではリスクの高い妊婦さんに対して、低用量アスピリンの投与が推奨されています。しかし、それぞれの研究により、対象となる妊婦さんの選出方法やアスピリンの用量、服用時期などが異なり、さらなる報告がもとめられていました。 そこで、「Aspirin Continue Reading ->