世界に先駆け承認された結節性硬化症にともなう皮膚病変治療薬 ラパリムスゲル0.2%

結節性硬化症は、全身のさまざまな部位に腫瘍性病変を生じる遺伝性の疾患です。難病に指定されており、1万人に1人の割合で患者さんがいると推定されています。 結節性硬化症とは 結節性硬化症は、脳や腎臓、肺、皮膚、心臓など全身のさまざまな臓器に過誤腫(良性腫瘍の一種)が生じやすい遺伝性疾患です。 写真はイメージです。 photo by pixabay 細胞増殖に関わるタンパク質であるmTORのはたらきをコントロールしている遺伝子(TSC1遺伝子またはTSC2遺伝子)に異常が生じることが原因となり、mTORを抑える力が弱まる結果、腫瘍ができやすくなり、てんかん、発達障害などさまざまな症状が発現すると考えらえています。 症状には個人差があり、年齢によっても現れやすい症状が異なります。年齢別にみると、新生児期には心臓の腫瘍、乳児期にはてんかん発作や知的障害・発達障害、学童期からは顔面血管線維腫などの皮膚症状や脳腫瘍、思春期では腎臓腫瘍、成人期からは肺のリンパ脈管平滑筋腫症が問題になることが多いといわれています。 治療は、それぞれの症状にたいする対症療法が行われます。また、最近では、mTORの働きを抑える薬も使用されるようになってきています。 結節性硬化症にともなう皮膚病変にたいする新規外用薬 皮膚病変は、結節性硬化症の9割以上の患者さんにみとめられるといわれており、顔面に赤みを帯びた皮疹ができる血管線維種や、白斑、爪囲線維種などの症状がよくみられます。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

二次進行型多発性硬化症にたいするsiponimodの有効性

多発性硬化症は、さまざまな神経症状をしめす慢性の神経疾患です。患者さんは、世界に約250万人いると推定されており、日本では1万3千人を超え、年々増加傾向にあるといわれています。 多発性硬化症とは 多発性硬化症は、脳や視神経、脊髄の機能に障害を引き起こす慢性的な神経疾患であり、多くの場合、再発と寛解を繰り返します。(詳しくはこちらを参照) 症状は、患者さんによって異なり、障害される部位によって歩行障害や感覚障害、視力の低下、記憶障害などさまざまな症状が発現します。 通常、情報伝達を行うために重要な神経細胞の軸索は、ミエリンで覆われており、このことにより情報をスムーズに伝えることができるようになっています。しかし、多発性硬化症では、ミエリンが何らかの原因で障害されるため(脱髄)、情報がうまく伝わらなくなり、さまざまな症状が引き起こされます。詳細な原因はいまだ明確にはなっていませんが、リンパ球が何らかのきっかけで、誤って攻撃してしまうことが一因と考えられています。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

繰り返してしまう万引き 自分の意思でやめることができない-クレプトマニア(窃盗症)とは

[万引きがやめられない?] 「万引き」といえば説明するまでもなくお店からお金を払わず商品を持ち去ること・・・刑法上では「窃盗罪」にあたります。 犯罪白書によると全窃盗件数は80万件超、その中で万引きは14.5%ですとかなりの件数になります。未発覚の件数はもっと多いことも想像できますよね。   万引きをしてしまうきっかけはなんでしょうか。いくつか例をあげてみましょう。 ・お金がないけど欲しいものだったから。 ・食べるものを買えるお金がないので。 ・転売して利益を得るために。 それぞれの万引きの目的がはっきりしていますよね。「利益のための窃盗」といえるでしょう。 利益のためではなく「買うお金は持っているけど」、「別に欲しいものでもないんだけど」といった一見すると目的がわからない万引きをしてしまう人もいます。「あの人が万引き!?」とびっくりするニュースを耳にしたことはないでしょうか。 目的がわからない万引きの目的はなんでしょう。それは「万引という行為」そのものが目的です。「クレプトマニア(窃盗症)」という精神疾患におちっている可能性があります。「窃盗のための窃盗」ともいわれます。 ミニコラム 万引きの語源は 万引きの語源はいくつか説があります。「並べられている商品の間から盗む」=「間引く」を語源とする説が有力です。間引くに撥音「ん」が入り変化して「万引き」と呼ばれるようになったといわれています。「万」は当て字です。 [クレプトマニアは国際的に認識されている疾患です] アメリカ精神医学会が作成しているDSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版)にクレプトマニアの診断基準が記載されていています。WHOのICD-10(国際疾病分類第10版)にも記載されていて国際的に認識されている疾患です。 ・個人的に用いるためや金銭的価値のためでもなく物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返してしまう。 ・窃盗に及ぶ直前の気分の高まりがある。 ・窃盗を犯すときの快感、満足、解放感などを感じる。 ・盗みが怒りや報復のためでも妄想または幻覚に反応したものでもない。 ・盗みを行為障害、躁病で躁状態にある、反社会的人格障害では説明できない。 DSM-5は判断基準の目安で絶対なものではありません。専門医による診断が必要です。 [クレプトマニア-自分の意思で抑えられない] 世の中にはアルコール依存、ギャンブル依存、ネット依存などいろいろな依存症がありますよね。クレプトマニアも依存性のある障害です。 一般的に依存症は自分の力でやめることがむずかしいことが知られています。そのなかでもクレプトマニアはとくにむずかしいといわれています。クレプトマニアについて少し詳しくみていきましょう。 -クレプトマニアの症状は- とくに目的もなく盗りたいという感覚が衝動的におきてしまいます。緊張感が高まり落ち着きがなくなっていてもたってもいれなくなります。この衝動を抑えることができません。 万引きを実行したときには強烈な達成感や満足感を覚えます。この感覚は長続きしません。そのため後悔の念や自己嫌悪感にさいなまされることになります。 盗ることが目的ではないために盗った物への執着心や関心はほとんどありません。お店を出てからすぐに捨てる、他の人にあげてしまう、自宅で放置する、盗ったものを戻す場合もあるようです。 クレプトマニアの特徴的なことは常習的に万引きを繰り返してしまうことです。万引きしては駄目だとわかっていても自分の意思で衝動を抑えることができません。 逮捕された場合には一概にはいえませんが最初は説諭や示談で済む場合もあります。結果的に繰り返すことで「起訴→罰金刑→再犯→執行猶予判決→再犯→実刑判決」という形になってしまいます。 なんど捕まっても試行猶予中でも自分の意思でやめられません。実刑判決によって刑期があけても繰り返してしまいます。 自分の意思をコントロールできない、自己嫌悪感にさいなまされる、犯罪行為につながっているため他人から理解を得ることがむずかしいなどクレプトマニアは本人にとって大変つらい障害といえます。 -クレプトマニアの原因はなに- クレプトマニアの原因についてはっきりとした原因はわかっていません。さまざまな要因があるとされています。なんらかの要因から強いストレスや不安感によるひとつの自傷行為の形として窃盗へと結びつくともいわれています。要因として考えられているものをいくつかあげてみましょう。 ・いじめ、家庭内暴力などによるストレス。 ・過食症や拒食症など摂食障害、買い物依存症。 ※摂食障害との関係はとくに深いことがわかっています。摂食障害もクレプトマニアも衝動のコントロールができないことが関係しているともいわれています。 ・うつ病、アルコール依存症との関連も疑われています。 ・孤独感。高齢者の場合に多い要因だといわれています。 クレプトマニアは女性に多くみられます。高齢者に少なくないこともわかっています。女性に多いことから女性ホルモンの乱れについていわれていますがはっきりしたことはわかっていません。 女性に摂食障害が多いことや「お店に行く機会が多いこと=万引きしたいという衝動にさらされる機会が多いことにつながる」のも一因のひとつかもしれませんね。 [クレプトマニアではないかと思い当たる場合には] クレプトマニアは万引きによる法的な刑罰を受けたからといってクレプトマニアが治ることはありません。治療が必ず必要になります。 一般的なクレプトマニアの治療は通院もしくは入院で行われます。入院による治療に重点をおく病院もあります。カンウンセリングを主体として認知行動療法や集団療法がおこなわれます。 ◇認知行動療法 自分が万引きをしてしまうプロセスや盗むことへの思考の歪みに気がつかせる、どうすれば万引きしないかといったことを考えさせるなど訓練して患者の行動を変えていこうというものです。 ◇集団療法 同じクレプトマニアの患者が集まって自由に話をすることでお互いの悩みを共有や理解を得ることが目的です。議論などはせずに自分の心のなかを吐き出すような形で行われます。 クレプトマニアは1人で乗り越えることがむずかしく家族や周囲の人の助けを借りて乗り越えるということも必要です。家族に問題があるケースもあり家族へのカウンセリングを行う場合もあります。 ほかの依存症と同じようにクレプトマニアも長期間の治療が必要になります。しかし、治療を途中で中断してしまい再犯を犯してしまうことは珍しいことではなく課題となっています。 クレプトマニアには「KA(kleptomaniacs Continue Reading ->

早期胃がん切除後のピロリ菌除菌の効果

ピロリ菌は、胃の中に生息し、胃炎や胃潰瘍、胃がんなど、さまざまな疾患との関連が指摘されている細菌です。日本人の約50%弱が感染していると推定されており、とくに、衛生環境が十分に整っていなかったときに幼児期をすごした60代以上の方では感染率が高いといわれています。 ピロリ菌とは? ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、らせん形のグラム陰性微好気性細菌に分類される細菌です。通常の細菌は胃酸の中では生息できませんが、ピロリ菌は胃酸を中和する酵素を分泌しており、自らの周りの酸性度を下げることで胃の中でも生息することが可能となっています。 ピロリ菌の電子顕微鏡写真。 Continue Reading ->

メロンで食中毒! 食中毒の正体とは-妊娠している方、高齢者の方などは注意が必要?  

[メロンで中毒!?] 2018年の3月に時事通信からオーストラリアでメロンによる食中毒で15人が感染、3人が死亡とニュースが飛び込んできました。ニュースでも報じられみられた方もいるのではないでしょうか。 メロンによる食中毒というと2011年にアメリカで感染者147人、死者33人という集団食中毒が発生しています。コロラド州の同じ農場から出荷されたカンタロープという編目があるメロンが原因です。 メロンで食中毒といっても傷んだメロンを食べた、メロンのなんらかの成分によって食中毒を起こしたわけではありません。メロンが「リステリア菌」によって汚染されていたことが原因です。 リステリア菌による集団食中毒の報告は1981年カナダのコールスローによるものが最初です。この報告以降はとくに欧米を中心に数多く報告されています。アメリカでは毎年2500人が感染して約500人が死亡しています。 2011年のアメリカの食中毒では農場内のメロンを出荷する施設がリステリア菌に汚染されていました。消毒方法に問題があったと指摘されています。農場主は責任を問われて半年間の自宅勾留、罰金、社会奉仕活動などを命じる判決が下っています。 最近の大規模な集団感染は2018年3月に南アフリカで食品加工工場がリステリア菌に汚染されていたため約1000人感染、180人以上が死亡したことが報告されました。食品加工工場は閉鎖へと追い込まれました。 リステリア菌は土壌、河川や動物の腸管内などに幅広く生息しています。食品からも検出されます。食品の製造ラインを汚染することも知られていて食中毒の原因となります。リステリア菌による感染症を「リステリア症」といいます。 死者までだすリステリア菌とはどのような菌なのでしょうか。 [やっかいなリステリア菌] リステリア菌には6菌種あります。私たちに毒性を示すのは「リステリア・モノサイトゲネス」という種類です。 リステリア菌は発育温度域がマイナス1.5度から45度と幅広くマイナス20度ぐらいまでは生存可能です。塩分にも強くて10%から12%程度の高い塩分濃度でも増殖します。30%の塩分濃度でも死滅しません。 この生態から冷蔵庫内や塩漬けの状態でも増殖するやっかいな面を持っています。冷蔵庫で冷凍にしても死滅しません。70℃以上の温度で死滅するので加熱殺菌が有効です。 生息範囲が広いことから私たちが口にする野菜、果物、肉、乳製品、魚などの食材が汚染される可能性があります。 リステリア菌に汚染されていても食べ物のにおいや味には変化がありません。とくに加熱されていない食品はリスクが高くなります。どのようなものかあるか例をあげてみましょう。 ・加熱処理されていないナチュラルチーズ ・低温殺菌されていない牛乳 ・生ハム、冷肉、ソーセージ ・肉や魚のパテ ・スモークサーモン ・調理済みのサラダや惣菜 とてもやっかいなリステリア菌ですがどのような症状を引き起こすのでしょうか [リステリア症はどんな病気なの] -どんな症状なの- リステリア症は相当量の菌量を一度に摂取しないかぎり発症することはほとんどなく、食品が原因となる感染例は100万人あたり0.1人から10人とされていています。けっして多いものではありません。 潜伏期間が3日から10週間と発症するまでの時間はたいへん幅広いことが知られています。そのため原因の特定が困難だとされています。 感染初期の6時間から1週間程度の間に倦怠感、発熱を伴う胃腸症状がみられることがあります。リステリア症が発症すると発熱、頭痛、嘔吐、倦怠感などインフルエンザのような症状がみられます。下痢など胃腸症状を示すこともありますが多くはありません。 菌血症を引き起こすとインフルエンザのような症状に加えて筋肉痛、関節痛、背部痛などの症状が現れます。神経系統まで感染が広がると首の硬直、ふらつき、けいれんなども現れます。重症化すると髄膜炎、敗血症など重い全身性症状を引き起こします(侵襲性リステリア症)。重症化した場合の致死率は20%から30%と高い致死率を示します。 妊婦の方が感染した場合には子宮から胎盤を通して胎児に高い確率で感染して流産、早産、死産の原因になります。とくに妊娠後期は重い症状が現れやすいといわれています。母体には症状がでない、症状が軽い場合でも胎児に感染が及んでいる場合があります。 新生児の発症は出産前の母体内や出産時に膣内で感染して起こります。胎児や新生児の致死率は20%から50%で後遺症が残る場合もあります。 -リステリア症のハイリスク群とは- リステリア菌は健常者が感染しても症状がでないもしくは軽い風邪のような症状ですんでしまう場合がほとんどです。気をつけなくてはならないのは感染や重症化しやすいハイリスク群の方です。 ・妊娠している方。健康な成人の17倍から20倍の感染率といわれていいます。 ・免疫機能が衰えている高齢者。 ・抗ガン剤治療を受けている方やHIVエイズの方など免疫機能が低下している方。 ・慢性の呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、糖尿病、高血圧などの基礎疾患を持つ方。 ・胃を切除した方やH2ブロッカーなど胃酸を制御する薬を服用している方。 重症化すると致死率のリステリア症についてWHOは注意喚起を行っています。日本ではあまり話しをききませんがどうなのでしょうか。 [日本ではどうなの] 日本では食中毒の統計上はリステリア菌による食中毒の報告はありません。論文として2001年に北海道で自家製のナチュラルチーズによる集団感染例が報告されています。内閣府の食品安全員会の調査によると推定患者数は年間約200人とされています。死亡例はでていません。 日本ではリステリア菌の食品の汚染率については低いといわれていましたが、近年の調査によって諸外国とはそれほどかわらないことがわかりました。調査結果から日本でも集団感染のような事例が発生する可能性はないとはいえないようです。 厚生労働省では一般消費者むけと妊婦さんむけに注意喚起のパンフレットを作成しています。 やっかいなリステリア菌ですが神経質に恐れることはないでしょう。一般的な食中毒とおなじように普段から食への衛生を心がけましょう。どのようなことを注意すればいいでしょうか。 [日頃から注意するポイントは] 注意するポイントはよく洗う、賞味期限に注意する、冷蔵庫を過信しないことです。 ・生野菜や果物などは食べる前に「流水」でよく洗いましょう。 ・賞味期限内に食べ切るようにしましょう。一度開封後したものはなるべく早く食べきりましょう。 ・リステリア菌は冷蔵庫内でも繁殖します。冷蔵庫を過信せずに長期間の保存は避けましょう。 ・リステリア菌は低温では繁殖能力が衰えますので冷凍庫で保存しましょう。解凍した場合には早めに食べきりましょう。 ・生の食材扱ったあとには手、包丁、まな板、容器類はよく洗いましょう。 ・肉、魚などは完全に加熱してから食べましょう。 日ごろからの注意は私たちのからだを守ることにつながります。注意することで健康な生活が送れるといいですよね。   Continue Reading ->

免疫機能をコントロールする能力を兼ね備えた新たなCAR-T細胞とは

がんの治療は日々進化しており、5年生存率も世界各国で上昇している傾向にあります。しかしながら、いまだがんにより命を落とす方は多く、さらに有効な治療法を求めて世界中で研究が行われています。 CAR-T細胞療法とは 世界中でがん治療の研究が行われていますが、最近注目を浴びているのがCAR-T細胞療法です。 世界に先駆けてアメリカでは、2017年にB細胞性急性リンパ球性白血病治療法としてキムリアが承認されています。新たな治療法という他にも、1回の治療費が約5300万円と高額であることも話題になりました。 CAR-T細胞療法は、患者さんから採取したT細胞に、がんを特異的に認識し攻撃できるように遺伝子操作を行い、それを患者さんに戻すという治療法です。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

開発が進んでいる新たなオレキシン受容体拮抗薬「レンボレキサント」

良質な睡眠は、ヒトの健康に重要となります。しかしながら、日本人の40%前後は睡眠の質に満足していないという調査結果が出ており、約20%は慢性的な不眠に悩んでいるといわれています。 写真はイメージです。 photo by illust-ac 不眠と睡眠薬 睡眠はヒトの健康を左右しており、睡眠の質とがんなどの疾患との関連も指摘されています。 質の良い睡眠を得るためには、規則正しい生活や適度な運動を心がける、寝る前にスマートフォンやパソコンを見ないようにする、就寝前にリラックスできる環境を作るなど、さまざまな対策が挙げられますが、どうしても寝られない場合には、医療機関で睡眠薬が処方される場合があります。 現在、作用機序や作用時間の異なるさまざまな睡眠薬が発売されており、患者さんの睡眠状況にあった睡眠薬が選択されます。作用機序で分類すると、大きく分けて、脳の活動を抑制する薬と、睡眠に関わる生理物質の働きを調整することで自然な眠りを促す薬に分けられます。 脳の活動を抑制する作用を持つ薬としては、バルビツール酸系やベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系があります。 ベンゾジアゼピン系は、臨床でよく用いられる睡眠薬であり、GABAA受容体に作用し、神経細胞の過分極を引き起こすことで神経活動を抑え、催眠作用をもたらす薬です。催眠作用のほかにも、抗不安や筋弛緩などの作用も持っています。作用時間によって、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型に分けられ、患者さんの症状により使い分けされます。 非ベンゾジアゼピン系は、ベンゾジアゼピン系と同様の作用をもちますが、より選択的に作用することで、筋弛緩などの作用が弱いことが特徴であり、転倒やふらつきの危険性がたかい高齢者によく用いられます。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

春のうつ 春になると体調がおかしくなる、気分が落ち込むことはありませんか?

[冬から春へ-始まりの季節へ] 春というと何が思い浮かびますか。寒い冬が終わって緑が息吹はじめ、桜の花が咲き、冬物から春物へと身に着けるものも変わります。 身も心も軽くなってウキウキするような明るいイメージがある春。春は木の芽が芽吹くことから「木の芽」の季節ともいわれています。始まりの季節というイメージもありますよね。 しかし、ウキウキするイメージなんかしない、気分がのらない、悲しさやさみしさを覚えてしまうなどと感じることはありませんか。それは春のうつ病かもしれません。 [春は変化の季節です] 春はわたしたちの身の回りにいろいろな変化がおきる季節です。この変化がうつ病のきっかけとなることがあります。どのような変化なのかみてみましょう。  -生活の変化- わたしたちが生活している中に訪れる変化です。いくつか例をあげてみましょう。 ・学生では進学、進級、通学のための引っ越しなど ・社会人では新入社、配置移動、昇進、転勤、転職など ・主婦では家族の生活が変わると自分の生活が変わる、子供の独り立ちなど ほかにもいろいろあるでしょう。複数の変化が同時に訪れることもあります。また、春はあらたな始まりの季節であると同時に別れの季節です。慣れ親しんできた生活環境が変わることになります。 このような変化は人により程度の差はありますが「ストレス」となって心身に影響を及ぼします。 -季節の変化- 春は季節の変わり目です。朝と夜の温度差が激しく、三寒四温といわれるように日によっても温度差もかなり違います。季節の変化は気がつかないうちにからだへのストレスになります。私たちが体調を崩しやすい季節ともいえます。 体調を崩さないように体のなかでがんばって対応してくれるのが自律神経です。自律神経は血圧や体温などからだのいろいろな機能が正常に働くための司令塔といわれています。自律神経が変化に追いつかなくなると心身の不調という形となって現れてきます。 このような変化が春のうつ病にどのように関連してくるのでしょうか。 [春のうつ病ってなに] 一般的にうつ病はなんらかの要因が引き金となって脳内の神経伝達物質になんらかの問題が起きて発症するといわれています。 脳内の神経伝達物質とはこころやからだのバランスを整えてくれる「セロトニン」、ストレスに反応してからだの集中力や判断力などを高める「ノルアドレナリン」、幸福感や意欲を高める「ドーパミン」などをいいます。とくにセロトニンとうつ病の関係は深いといわれています。 うつ病は通年で発症する可能性がある病気で春に多く、次いで秋から冬にかけて多いことが知られています。 春のうつ病と一般的なうつ病に違いはあるのでしょうか。春のうつ病は春の変化からくるストレスや自律神経の乱れが引き金となります。 うつ病が比較的発症しやすい季節が春であることから「春うつ」とか「春のうつ病」といわれています。春は「うつ病に注意しましょう」という意味でとらえるとわかりやすいでしょう。 うつ病とまでいかなくても春になるとなにか調子が悪くなることやなぜか落ち込むことなど経験したことはないでしょうか。 うつ病になると多彩な症状が出現してきます。どのような症状が現れるのかおもなものをみてみましょう。 ―うつ病の症状― ◇こころの症状 ・意欲、興味、集中力、やる気などが低下や消失する。 ・楽しみを感じない、気分が落ち込む、ものごとへの関心が薄れる。 ・イライラする、不安感を感じる。 ・遅刻や欠勤をしてしまう。以前できたことができない。学校や会社にいけない。 ◇からだの症状 ・頭痛、胃痛、肩こり、耳鳴り、おなかの調子が悪くなる。 ・動悸、過呼吸、生理不順。 ・寝つきが悪くなる、眠りが浅く目がすぐ覚めてしまう。 ・食欲が落ちるもしくは増加する。飲酒量や喫煙量が増える。 これらの症状が複数みられて2週間以上にわたり長引く場合にうつ病を疑います。 自殺者の統計を見てみると1年の中で5月が一番多いことが分かっています。春のうつ病との関連も疑われています。 -五月病とうつ病の違いはなに- うつ病と同じような症状がみられる「五月病」といわれる病気があります。よく耳にしますよね。五月病は正式な病名ではなく「適応障害」のひとつです。生活環境の変化にうまく適応できないことが原因になります。 五月病とうつ病は大きな違いがあります。五月病の多くは一過性のもので原因を自分でなく周囲に求めるのが特徴です。ゴールデンウィーク明けから6月ごろに発症します。五月病は適応障害なので環境に慣れると自然になおるといわれています。 うつ病の場合には原因を自分に求めてしまいます。自分を責めてしまうことからうつ病が重症化すると自殺につながっていくことが知られています。 たとえば、仕事がうまくいかなくて体調を崩したのは「仕事が自分にあわない」からだと考えるのが五月病、「自分がいけないんだ」と自分を責めてしまうのがうつ病です。注意しておきたいのは五月病がきっかけとなってうつ病に発展してしまうケースもあります。 春になってなにか気分がすぐれない、体調がいつもより悪いなと感じたらどうすればいいのでしょうか。 [なにかおかしいなと感じたら] 自分のからだがなにかおかしいなと感じたときにはからだの調子も戻すためにできることを試してみるのもいいかもしれません。一般的なことですができなくなっていませんか。 リラックスする お風呂にのんびりはいる、アロマを使用する、好きなことに没頭する、音楽を聴くなど自分がリラックスできることをやってみましょう。ゆっくりと腹式呼吸をするのもリラックスにつながります。 からだをうごかす 散歩やストレッチするなどの軽い運動で構いません。外にでて陽の光を浴びるのがいいといわれています。近所をのんびり散策してみるのがいいかもしれませんね。 睡眠をとる なかなか眠れないときは眠ろうとするほど眠れなくなっていろいろなことが頭に浮かんできますよね。とはいえ長時間の睡眠をとらなくてはいけないと考える必要はありません。 人間は横になって目を閉じているだけでもある程度の休息効果は得られます。どうしても睡眠に支障が出る場合にはお医者さんに相談しましょう。 食事を楽しむ かたよった食事や早食いはこころにもからだにもよくありません。いろいろなものをバランスよくゆっくり食べるのが大切です。食事を楽しんでみることも考えてみてください。 できそうなことからをやってみましょう。「〇〇しなくてはならない」のように無理はしないようにします。自分で抱え込まずにほかの人に頼るというのも一つの方法です。 うつ病が進んでしまうとなにもやる気が起こらなってしまいなにをするのもむずかしい状態になってしまいます。 症状が気になる、長引く、つらくてがまんできない、なにもやる気が起きないときには我慢せずに心療内科や精神科を受診しましょう。 なかなか行きづらいと思う方もいるとは思います。学校、会社、自治体ではこころの窓口のようなかたちでカウンセラーを設けているところが数多くあります。最初にカウンセラーの方と話してみるのもいいかもしれません。 お医者さんを受診する場合には心療内科や精神科の多くは予約制です。まずは病院に電話して相談してみましょう。 春のうつ病は春が過ぎれば治るという方もいますがうつ病が改善しないことや悪化してしまうことは少なくありません。そうならないためにも早めの受診をおすすめします。   Continue Reading ->

ビタミンDとがんとの関連性〜日本における大規模コホート研究から〜

日本における死亡原因の第一位はがんであり、医療技術が進歩した現在でも、たくさんの方が命を落としています。さまざまな因子ががんの発症に関わっていることが知られていますが、今回、血中ビタミンD濃度とがん罹患リスクとの関連について報告されました。 ビタミンDとは? ビタミンDは、ビタミンの一種であり、そのなかでも脂溶性ビタミンに分類されます。ビタミンD2からD7の6種類存在しますが、高い生理活性をしめすのは、ビタミンD2とD3です。 ビタミンD2は植物に多く含まれ、D3は動物に多く含まれます。また、ビタミンD3は、食物から摂取する以外にも、皮膚に紫外線があたることによっても生成します。 写真はイメージです。 Continue Reading ->

種々の抗うつ薬の効果と安全性の比較

うつ病の患者数は増加傾向にあり、16人に1人が生涯でうつ病を経験するともいわれるほど身近な疾患です。早めに治療を始めるほど回復も早いといわれており、無理せずに専門機関に相談し、適切な治療を受けることが大切です。 写真はイメージです。 photo by photo AC うつ病とは 誰しもが、気分の落ち込みや意欲の低下を感じることがありますが、うつ病は、そのような日常で感じる一時的な感情の起伏とは異なります。 発現する症状は人によって違いますが、言葉では表現しようのないほど気分が重い、何に対しても興味がわかない・楽しくないなどの状態が、ほぼ一日中感じられ、2週間以上続くことが、うつ病と診断するめやすとなります。精神的な症状以外にも、睡眠障害や食欲の低下、倦怠感、動悸などを感じることもあります。 うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレス、環境の変化などさまざまな要因が重なり、脳の機能障害が起きている状態です。 脳内の情報伝達には、多くの神経伝達物質が関わっていますが、うつ病では、何らかの原因で神経細胞間のセロトニンとノルアドレナリンの量が減少していることが報告されています。これらの神経伝達物質は、気分や意欲、記憶などの人の感情にかかわる情報をコントロールしていると考えられており、減少することで情報が上手く伝達できず、さまざまな症状があらわれると推測されています。 写真はイメージです。 Continue Reading ->