小児科医不在の町と遠隔健康医療相談システムの連携実験が始まる 小児科医不在の町の育児に寄り添うために

「医師不足」という言葉を耳にするようになってから久しいですよね。厚生労働省の医師調査の調査(平成28年度)によると、実際の医師数は年々増加しています。 しかし、依然として「医師不足」ということがいわれています。 原因として、地域偏重や「小児科、産婦人科、外科」など特定の診療科目の若い医師のなり手が減ってきているなどいろいろな問題が指摘されています。 地域偏重をみてみると、都市部の医師数は多いのかというと人口10万人の対医師数でいえば埼玉県が最も少なく、全国平均からみてみると東北、東京を除く関東圏、東海などが少ない地域です。 人口10万人の対医師数なので人口の少ない県が足りているということでもありません。同じ県内のなかでも地域差があります。 このことは、あくまでも「医師不足」といわれる一例にすぎません。ほかにもいろいろな問題が考えられます。医師不足の問題は、わたしたちの生活にも直結することですよね。 このようななか、2018年6月1日からスマートフォンを使った「小児科オンライン(遠隔健康医療相談システム)」を運営する株式会社Kids Continue Reading ->

今週の医師国家試験 免疫性血小板減少性紫斑病について知っていますか

今週は、免疫性血小板減少性紫斑病についての問題を医師国家試験から紹介します。 免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)について正しいのはどれか。 a 先天性疾患である。 b 骨髄の巨核球が減少する。 c 皮下出血を起こしやすい。 d 関節内出血を起こしやすい。 e 筋肉内出血を起こしやすい。   免疫性血小板減少性紫斑病はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、以前は特発性血小板減少性紫斑病とよばれていた病気です。 特発性という言葉の意味は、「ちょっとよくわからない」病気という意味になりますが、研究がじょじょに進み、免疫が関与していることがわかってきてから、欧米を中心に免疫性血小板減少性紫斑病と呼ばれつつあります。 さて、そんな免疫性血小板減少性紫斑病ですが、原因はまだはっきりとわかっていませんが、小児では一般的には、予防接種や風邪などの症状をきっかけとして生じるとされています。 予防接種や風邪がきっかけでできた抗体が、身体のなかの血小板をなぜか異物と認識してしまうことで、体内の血小板が脾臓に破壊されてしまい、体内の血小板が減少します。赤血球や白血球には影響を与えません。血小板のもととなる巨核球にも影響を与えず、血小板のみが減少します。 症状としては、皮下出血(点状出血又は紫斑)を認めます。歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血なども起こり得ます。これらの症状は何ら誘因がなく起こります。こういった場合には。副腎皮質ステロイドやガンマクロブリン大量療法に加え、血小板輸血も考慮します。 原因としては、ヘリコバクターピロリ菌の感染が関係している場合があるため、感染が認められる場合には、ヘリコバクターピロリ菌の除菌を行います。   といったところで、選択肢をみていくと 先天性疾患ではなく、風邪や予防接種がかかわる病気なのでaは間違い。 骨髄の巨核球は関係なく、血小板のみがかかわる病気なのでbも間違い。 症状としては、軽微な外力による出血が多いため、深部出血である関節内出血、筋肉内出血はあまりみとめず、皮下出血を起こしやすいため 答えはcになります。   Continue Reading ->

Wi-Fi機能を搭載したAEDが販売を開始 クラウドを利用した迅速な救命へ

突然、倒れて心停止した人の命を救うための救命装置「AED」。メディアで取り上げられたり、講習を受けたり、見かけたりと広く知られていますよね。 AEDについては、当サイトの記事の「AEDプロジェクト」をご覧ください。 2018年4月に「Wi-Fiの通信機能を搭載したAED」がフィジオコントロールジャパン社から販売が開始されました。 商品名は、「ライフパック CR2 自動体外式除細動器(AED)」で価格は36万5,000円です。 AEDにWi-Fi機能を搭載してどのように使うのか気になりますよね。   ライフパックCR2の大きな特徴は、Wi-Fi接続で、同社のクラウド型AED管理支援サービス「ライフリンクセントラル Continue Reading ->

食物アレルギーの尿中のバイオマーカーを発見 食物アレルギーの新たな指標になるか

お店で売られている商品でよく「〇〇のアレルギー物質を含む原材料を使用しています」などみかけますよね。 アレルギー物質の表示は、「食物アレルギー」を持っている方の発症を防ぐために義務づけられているものです。 現在、日本では120万人以上の食物アレルギー患者いるとされ多くは小児期に発症します。 アレルギーの原因となるいろいろな食物が知られていますよね。発症するとかゆみ、じんましん、おう吐、下痢などの症状があらわれて最悪の場合には命に関わります。 食物アレルギーの検査法方法は、血中抗体(IgE)濃度を測定する検査とアレルギーの原因となる食べ物を実際に食べさせて症状が出ることを確認する「経口抗原負荷試験」があります。 東京大学の研究チームは、「食物アレルギー患者の尿に特定の物質が多く含まれることを発見した」と発表しました。あらたな検査方法として尿の成分から食物アレルギーの有無を診断できる可能性があること示唆したものです。 研究論文は国際科学誌「Scientific Continue Reading ->

子どもの肥満と地域差 都市部の子どもは肥満になりやすいはうそ?

身の回りに多くの食事があふれ、手軽にジャンクフードを手にすることができていることから、近年先進国では、肥満が大きな問題になってきています。 肥満による糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病はおおきく取り上げられています。 また、肥満の低年齢化もすすんできています。今回、アメリカの統計にもとづいて小児の肥満についてJAMAから研究が発表されました。   研究では、都市化と小児の肥満の傾向について検討しています。 米国疾病管理予防センターの成長チャートにもとづき、それぞれの年齢層の中で上位5%のBMIを示すひとを肥満と、さらにそのラインを120%超えるひとたちを極度の肥満と定義づけています。 成長チャートなのでモデルのようなものですので、実際の人々にあてはまるものではありません。 これを2013年から2016年にかけて2~19歳の人にあてはめてみたところ、約17.8%が肥満、約5.8%が極度の肥満にあてはまりました。 都市と田舎でくらべてみたところ、意外にも人口が100万人いる地域よりも100万人いない地域のほうが極度の肥満率は高くなりました。 また、世帯主が高齢で低収入であるほど、肥満率も極度の肥満率も高くなりました。人種差では、白人のほうが黒人、ヒスパニック系よりも肥満率、極度の肥満率が高くなっています。 photo Continue Reading ->

今週の看護師国家試験 介護保険法に基づいて設置されているのはなんでしょうか

今週から看護師国家試験を紹介していきたいと思います。 平均寿命で正しいのはどれか。 1. 0 歳の平均余命である。 2.20 歳の平均余命である。 3.60 歳の平均余命である。 4.死亡者の平均年齢である。   平均寿命に関する知識を問う問題ですね。平均寿命は、0歳の平均余命のことで、先天的な病気で生後まもなくなくなってしまった人も含んでいます。また、平均寿命が81歳の国があったとして、80歳のヒトがあと1年でなくなってしまうわけでももちろんありません。日本では、80歳まで生きた人の平均余命は10年です。答えは、1になります。   平成 Continue Reading ->

今週の医師国家試験 マロリーワイス症候群について知ってますか

最新の医師国家試験から1題取り上げてみます。 (2018年度 A-5) Mallory-Weiss 症候群について正しいのはどれか。 a 自然治癒する。 b 裂創は横走する。 c 病変は壁全層に及ぶ。 d 胃大彎側に好発する。 e 十二指腸にも病変が存在する。   今回は、マロリーワイス症候群からの出題です。 マロリーワイス症候群といえば、聞いたことがあるひともいるかもしれませんが、食べ過ぎ、飲みすぎたあとの嘔吐で食道から胃にかけて傷ができる病気です。 内視鏡での検査が診断には有用です。 画像はこのような画像になります。 photo Continue Reading ->

お腹の大きな手術のあとの点滴はどの程度が良いのか NEJMの研究から

手術のなかでもお腹の手術はもっとも一般的に行われている手術で、緊急で手術の必要な急性腹症やがんの手術、腹部大動脈瘤の手術などおおきな手術はしばしば行われています。 そんなお腹の手術ですが、ガイドラインでは、点滴量を制限して行うのがよいとされていますが、根拠にややとぼしく、点滴が少ないことによる障害のほうが多いのではないかと懸念されていました。 今回、オーストラリアからの報告で、NEJMに”Restrictive Continue Reading ->

細菌を破壊する人工ウイルスが開発!? 薬剤耐性菌の対抗策として期待へ

わたしたちの身の回りにはさまざま種類の細菌が存在しています。これらの細菌のなかには病気を引き起こす細菌が数多く知られています。 この細菌を退治してくれるのが抗生物質ですよね。1928年にフレミングが青カビから見付けた「ペニシリン」が世界初の抗生物質で、以降さまざまな抗生物質が登場してきています。 近年、抗生物質について大きな問題となっているのが、抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」です。 普通ならば抗生物質によって簡単に治療できたはずの病気が治せないというケースが増加しています。 よく耳にするのは黄色ブドウ球菌(MRSA)や緑膿菌ではないでしょうか。薬剤耐性をもつMRSAや緑膿菌に罹患してしまうと重症化することが知られています。 英国立物理学研究所(NPL)とユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、「細菌殺傷能力を持つ人工ウイルスの合成に成功した」と発表しました。この成功は薬剤耐性菌に対する新たな対抗策として期待されています。 [人工ウイルスってなんなの] 研究チームが開発した人工ウイルスは、大きさは非常に小さく20ナノメートル(0.00002ミリ)ほどでタンパク質の組織できています。 複数のアミノ酸を結合、合成させて本物のウイルスに似た正20面体の形状で中空構造になっています。 人工ウイルスは、細菌を認識すると非常に短時間で自分より大きい細菌の表面に付着して細菌の細胞膜に穴をあけて細胞を溶解させます。 研究チームによると、「急激に細胞膜に穴を開けることで内容物が漏れ出すようになります。実験では細菌が死滅する様子がみられた」と述べています。細菌に対して人工ウイルスが攻撃性を持っていることが確認されています。 今回の人工ウイルスは、細胞膜に作用することから細胞全体を攻撃するという性質があります。通常の抗生物質は、標的となる細胞の内部まで入り込んでから作用するので作用機序が異なります。 このことから通常の抗生物質に比べて細菌が人工ウイルスに対する耐性を獲得できないことが考えられ、耐性菌が生まれにくいというアドバンテージを持っていることが人工ウイルスの利点としてあげられています。 [人工ウイルスに期待されることはなに] 人工ウイルスに期待されているのが、第一に薬剤耐性菌に対する処置方法の開発があげられます。 世界では、薬剤耐性菌に起因する死亡者数は年間70万人が死亡しているといわれています。 厚生労働省によると、「このままなんらかの対策がとれない場合」には2050年にがんの死亡者数を上回ると推測されていて効果的な治療法がないのが現状です。このような現状に一石を投じる可能性があるのが人工ウイルスです。 さらに人工ウイルスは、ヒトの細胞には影響を及ぼさないとされています。ただし、本物のウイルスのように感染力や細胞内に進入する能力があり、必要な薬剤を細胞内に直接届けることや遺伝子の操作を細胞内で行うなどといったさまざまなことに応用できる可能性を持っていると考えられています。 今回の研究の成果を、研究チームの英国立物理学研究所のMax Continue Reading ->

オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症とは

先日、紹介した医師国家試験にでてきたオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症についてどういった病気か最近の動向について今回、みていきたいと思います。 以下、難病情報センターの情報を参考にしています。 オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症とは 人間は普段の生活で、タンパク質、炭水化物、脂質を摂取しながら生きています。 摂取したタンパク質は、アミノ酸に分解されますが、その際に副産物として生じたアンモニアは、有毒な物質です。アンモニアは、肝臓の尿素サイクルという解毒システムによって尿素に転換され、解毒されます。この過程に異常があり、アンモニアの解毒が出来ず、血中のアンモニアが上昇することを高アンモニア血症といいます。 オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症は、この尿素サイクルに異常をきたしている病気のひとつで、尿素サイクル異常症の過半をしめています。尿素サイクル異常症に属する各疾患あわせて約8000人に一人、オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症は約14000人に一人の有病率と考えられています。 原因は、アンモニア解毒のステップであるカルバミルリン酸とオルニ Continue Reading ->